コンテンツにスキップ

MZ-2861

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。(榮) (会話 | 投稿記録) による 2011年1月12日 (水) 11:51個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎ハードウェア仕様)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

MZ-2861(えむぜっとにいはちろくいち)とは、シャープが発売した8/16ビットパーソナルコンピュータである。MS-DOSモードとMZ-2500シリーズ互換モードを持つハイブリッド機。ニックネームは、MZ書院。同社が発売していたワープロの書院と互換性を持つワードプロセッサアプリケーションを標準添付していた事による。独自アーキテクチャを持つMZシリーズ全体の最終機種でもある。

ハードウェア仕様

  • CPU: 2800モード i80286-8 68PinPLCC、別売で80287 / 2500モード Z-80B 6MHz
  • RAM:
    • メイン 768KB標準 プロテクトモード用メモリを15MBまで、合計15.7MBまで増設可能
    • GVRAM: 512KB搭載、バンク切り替え及び専用メモリコントローラにてリニアアクセス可能
    • CGRAM: 14KB Text-VRAM及び、PCG(Programmable Character Generator)搭載
  • ROM:
    • IPL/IOCS 64KB
    • 漢字フォントROM 256KB - 新JIS第一水準、第二水準
    • 辞書ROM 256KB - ワープロ専用機 書院と同様の仮名漢字変換用辞書を内蔵
    • パレットボード装着時(オプション)4096色中16色表示可能。
  • DMAC: NEC μPD71071搭載、16MBリニアアクセス可能
  • 音源: YAMAHA YM-2203 OPN1基内蔵。(FM音源3ch+SSG音源3ch、各8オクターブ+ノイズ1Ch)

搭載インターフェイス

  • プリンターセントロニクス規格準拠SHARP仕様25ピンD-Subコネクタ×1ポート
  • シリアルポートRS-232C準拠25ピンD-Sub×1ポート
  • 外部FDD端子 SHARP仕様37ピンD-Sub×1ポート、専用製品は発売されず。
  • ジョイスティックATARI仕様9ピンD-Sub×2ポート
  • マウス:SHARP仕様8ピンミニDINプラグ×1ポート
  • キーボード:独自仕様独自コネクタ×1ポート
  • CRT:カラー9ピンD-Sub×1ポート、モノクロ9ピンD-sub×1ポート
  • CRT制御端子:SHARP規格8ピンDIN×1ポート
  • MZ-2500互換拡張スロット×2(オプション)
  • PC-9801互換拡張スロット×3
  • NDP増設コネクタ×1
  • 拡張ROMソケット×1(実際には、対応商品は一般には販売されず)
  • VRAM拡張ソケット×1(実際には、V-RAM拡張モジュールは販売されず)

添付ソフトウェア

  • MS-DOS Ver.3.1
  • BASIC-M28インタープリタ
  • ワープロソフト書院「書院28」
  • PC-9801エミュレータソフトウェア

周辺機器

  • MZ-1E30(HDD I/F)
  • MZ-1E35(ADPCMボード)
Y8950(MSX-AUDIO)を搭載し、ADPCMの録音再生を可能にするボード。
MZ-2861用のハードウェアではあるが、8bit側のインターフェイスボードであるため、MZ-2500でも利用可能。
  • MZ-1E39(拡張RS-232Cボード)
  • MZ-1E43(SCSI I/F)
  • MZ-1F23(20MB HDD)
  • MZ-1M08(ボイスボード)
MZ-1500用のオプションとして発売された音声合成ボードだが、本機でも利用可能になっている。
34種類の定型メッセージ定型メッセージ、一音ごとの発音、若干数のメロディーがROMとして録音されており、それを再生することで発生している。
定型メッセージ以外は単音で発音されるため、音のつなぎこそ不自然ではあるものの、フォルマント合成の音声合成よりも明瞭に聞き取れる。
英語の発音がチップには内蔵されているが、チップ外に接続された日本語音声のみBASICではサポートされた。
  • MZ-1M10(4096色パレットボード)
MZ-2500モード用内部増設のアナログパレットボード。
  • MZ-1M12(i80287)
  • MZ-1R35(1MB増設RAMボード)
  • MZ-1R36(MZ-1R35用1MB増設RAMボード)
  • MZ-1X29(純正マウス)

総括

他社の16ビット機と異なり、8086機からの拡張ではなく、i80286専用に全く新しく設計された、唯一のパーソナルコンピュータであった。そのため、他機種ではAPICが登場するまで実際には使用が困難であった80286で拡張された割り込み機能や、80286のプロテクトモードを効果的に使用する事が可能であり、DMACも20ビット、16MBの領域をカバーし、80286を使用したコンピュータとしては、当時最も洗練された機種であった。

しかし、多機能ではあったが、登場時期にライバルであったPC-9801等に比べ、前シリーズのMZ-2500を含めて対応アプリケーションが少なかったうえ、PC-9801のエミュレーション機能もエプソンから発売されたEPSON PCシリーズによって水をあけられ新規ユーザを獲得するには至らなかった。 また、広告などから、従来のMZユーザには前述のような設計がされていることは周知されず、書院やエミュレーションの方が前面に押し出されていたこともあり、独自の色を失い迷走していると写りこちらもまた、受けがよくなかった。 更にホビー向けとしても同時期に発売された同社別部署のX68000と比較し、あまりに地味であり、殆ど注目される事も無く、後継機種は発売されず、MZシリーズ自体も終焉を迎えることになった。

関連項目

前機種。8ビットモードの詳細。
エミュレーション対象となったハードウェア。
エミュレーションではなく、互換機という形を取ったシリーズ。