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民法第605条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第3編 債権

条文

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(不動産賃貸借の対抗力)

第605条
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

改正経緯

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2017年改正により以下の通り改正された。

(改正前)その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
(改正後)その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

解説

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賃借権は債権なので、賃貸人以外の人間には主張できないのが原則であるが、賃借人の利益を図るため、対抗要件を備えた不動産賃貸借に、物権的な効力を与えている。「売買は賃貸借を破る」の特則規定である。
対抗要件は登記である。不動産賃借権を取得した者が、その旨の登記をしたときは、例えばその後その不動産を譲り受けた者に対しても賃借権の存在を主張できるのである。
もっとも判例・通説によれば、特約がない限り賃借人は賃貸人に対し登記を請求することはできないとされ、実際に本条に基づいて登記がなされることはまれである。そのため賃借人の保護を図るためとしてはもっぱら借地借家法の規定が利用されている。

参照条文

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判例

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  1. 地上物件収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和40年06月29日)
    土地の転貸借について黙示の承諾があつたものと認められた事例。
    土地の賃貸人が、賃借人において賃借土地の一部を転貸している事実を知りながら、三年余にわたる賃貸人であつた期間中、なんらの異議を述べないで賃借人から賃料を取り立てていたときは、右転貸について黙示の承諾をしたものと認めるのが相当である。
  2. 土地明渡請求(最高裁判決 昭和44年10月28日)建物保護ニ関スル法律第1条
    隣接土地上に存在する保存登記を経由した建物の庭として使用することを目的とする土地の賃借権と建物保護に関する法律1条による対抗力
    乙所有の土地(乙地)を借り受け、同士地上に保存登記を経由した建物を所有する者が、甲所有の隣接土地(甲地)を右建物の庭として使用するため借り受けた場合においては、甲地が乙地と一体として右建物所有を目的として賃借されているものであるか否かにかかわらず、建物保護に関する法律1条による賃借権の対抗力は甲地に及ばない。
  3. 所有権移転登記手続等請求(最高裁判決 昭和49年03月19日)民法第177条
    賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件
    賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。
  4. 賃貸借契約解除等(最高裁判決 平成1年06月05日)民法第395条民法第602条
    抵当権と併用して賃借権設定仮登記を経由した者の後順位短期賃借権者に対する明渡請求の可否
    抵当権と併用して抵当不動産につき賃借権設定の予約をしその仮登記を経由した者が、予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、後順位の短期賃借権者に対し右不動産の明渡を求めることは、右短期賃貸借の解除請求とともにする場合であつてもできない。

前条:
民法第604条
(賃貸借の存続期間)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第7節 賃貸借
次条:
民法第605条の2
(不動産の賃貸人たる地位の移転)
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