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合略仮名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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合略仮名(ごうりゃくかな)は、複数の仮名文字を1つの文字で表現した仮名である。江戸時代以前は多く使用されていたが、明治33年に仮名は1音につき1文字とするという明治政府の政令により使用されなくなった。仮名合字つづきかなとも呼ばれる。

ウイーン王立印刷局1876年に出版した文字活字の総合見本帳『Alfabete des gesammten Erdkreises』には平仮名の合略仮名79文字、片仮名の合略仮名14文字が収録されている。

コンピュータにおいては外字の利用などでしか扱えなかったが、2000年にJIS X 0213が制定され、そこで「」および「」が定義され、その2文字については使用可能となった。

片仮名

片仮名の合略仮名のほとんどは2文字の仮名を左と右に偏と旁のように組み合わせた文字で構成される。ただし「コト」のような例外もある。

文字 読み 画像
コト
シテ
トキ
𪜈 トモ
トイフ

平仮名

平仮名の合略仮名は草体の上下の組み合わせで構成される。「まいらせそうろう」を1文字で表すような特殊な物もある。

文字 読み 画像
より
  こと
かしこ
まゐらせさうらふ

類似の文字

  • 「シテ」の合略仮名とされる文字「[1]は、「為」の異体字であり、合略仮名とは異なる[要出典]
  • 「なり()」は合略仮名ではなく「也」の草体(草体漢字)である[2]
  • 」は「ます」と呼ぶが、これは計量に使用する枡を記号化した物であり、合略仮名とは異なる。
  • 漢字の部首と仮名を組み合わせた漢字風の文字が存在するが、これらは合略仮名とは異なる。
    • 例:「機」、「議」、「魔」 →「略字」を参照。

関連項目

出典

脚注

  1. ^ 伊木壽一『古文書学』新装版 慶應義塾大学出版会 1981年に、「トシテ 「片仮名の合字」」とある。
    大石学『古文書解読辞典』改訂新版 東京堂出版 2000年に、「(と)シテ 合字」とある。
    これらの類書のほか、古文書・古典文学等の翻刻本の凡例はほぼ片仮名の「合字」であると説明しており、この項目「合略仮名」の定義に合致する。
  2. ^ 児玉幸多『くずし字解読辞典〔普及版〕』東京堂出版 1993年 ほか。
    田島毓堂「法華経為字和訓考―資料編(三)―」名古屋大学文学部研究論集 1990年。