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出光興産

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出光興産株式会社
IDEMITSU KOSAN CO., LTD.
帝国劇場
出光興産本社が入居する帝劇ビル
種類 株式会社
市場情報
東証1部 5019
2006年10月24日上場
略称 IDEMITSU、出光
本社所在地 100-8321
東京都千代田区丸の内3丁目1番1号
設立 1940年昭和15年)3月30日
(創業:1911年明治44年)6月20日
業種 石油・石炭製品
法人番号 9010001011318 ウィキデータを編集
事業内容 石油製品石油化学製品・電子材料の製造・販売
代表者 代表取締役社長中野和久
資本金 1086億0600万円
売上高 連結:3兆8,642億6,300万円
単体:3兆5,931億9,300万円
総資産 連結:2兆4,200億5,700万円
単体:2兆1,774億5,300万円
従業員数 連結7,933人、単体:4,745人
(2008年9月30日現在)
決算期 3月31日
主要株主 日章興産(株) 16.95%
財団法人出光文化福祉財団 7.75%
出光興産社員持株会 5.29%
財団法人出光美術館 5.00%
(2008年9月30日現在)
主要子会社 関連会社参照
関係する人物 出光佐三(創業者)
出光計助(第2代社長)
外部リンク http://www.idemitsu.co.jp/
特記事項:SS数:5,358店(2005年3月31日現在)
各種経営指標は2008年3月期のもの
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出光興産 2006年以降のロゴ
出光興産 1999年頃から2006年のロゴ

出光興産株式会社(いでみつこうさん)は、石油類精製・販売などを行っている日本企業である。創業者は出光佐三(いでみつ さぞう)。通称は「IDEMITSU」または「出光」。

企業のロゴマークは2種類存在し、燃油および自動車高級潤滑剤にはギリシャ神話アポロンをイメージした「アポロマーク」が、工業用、船舶用の各種高級潤滑剤には同じくギリシャ神話のダプネーをイメージした「ダフニーマーク」が用いられている。キャッチコピーは、「ほっと安心、もっと活力、きっと満足。出光の約束」。

概要

出光佐三により福岡県門司で石油小売を業とする「出光商会」として1911年(明治44年)に創業。1940年(昭和15年)に現法人が設立され、戦後高度経済成長の波に乗り、石油の輸入・精製を手がける民族資本の元売大手として発展した。2000年代前半まで、サントリー竹中工務店ロッテヤンマーなどとともに“非上場の大企業”として知られていたが、時代背景から開かれた企業を目指すべく、2006年(平成18年)10月24日東京証券取引所一部に上場した。

創業時より上場前まで「大家族主義」という日本的経営を標榜し、タイムカード定年制が無かった(勤務時間管理及び定年制は、数年前より導入)。また、上場まで長らく資本金10億円という過小資本状態であった(但し相対する負債も創業家及び創業家関係会社による劣後債務であり過小資本とは断言できない)。

主要関係会社として、アストモスエネルギー、出光タンカー、出光オイルアンドガス開発、出光エンジニアリング、アポロサービス、出光クレジットがある。サービスステーション運営の主要会社として、子会社の出光リテール販売、グループ外の宇佐美鉱油が挙げられる。

主要事業所

本社・支店

製油所・工場

括弧内は1日当りの原油処理能力。

  • 製油所
  • 工場
    • 千葉工場 - 千葉県市原市姉崎海岸
    • 徳山工場 - 山口県周南市新宮町
    • 御前崎製造所 - 静岡県御前崎市合戸

研究所

  • 先進技術研究所 - 千葉県袖ケ浦市上泉
  • 営業研究所 - 千葉県市原市姉崎海岸

沿革

  • 1911年(明治44年)6月20日 - 福岡県門司市(現在の北九州市門司区)にて「出光商会」として創業。
  • 1938年(昭和13年)12月 - タンカー日章丸一世(1万4千重量トン)就航(1944年(昭和19年)2月戦没)。
  • 1940年(昭和15年)3月30日 - 出光商会が出光興産株式会社を設立、「事業を通じて人間を育てる」という企業理念から。
  • 1947年(昭和22年)
    • 8月 - 石油配給公団の販売店に全国29店が指定され石油業に復帰。
    • 11月 - 出光商会を合併。
  • 1949年(昭和24年)4月1日 - 石油元売業者に指定。
  • 1953年(昭和28年)5月9日 - 日章丸事件が発生[1]
  • 1957年(昭和32年)3月17日 - 徳山製油所が操業開始。旧海軍燃料廠跡地で、10か月の工期で完成。
  • 1961年(昭和36年)5月1日 - 中部電力三菱商事などと共同で、東邦石油株式会社を設立。
  • 1962年(昭和37年)10月7日 - 当時世界最大の13万9千重量トンタンカー「日章丸三世」を建造。
  • 1963年(昭和38年)
  • 1964年(昭和39年)
    • 9月 - 石油化学部門を分離し、出光石油化学を設立。
    • 10月 - 出光石油化学徳山工場が竣工。
  • 1966年(昭和41年)12月 - 世界初の20万トン級VLCC(超大型タンカー)「出光丸」(20万9千重量トン)を就航。建造を担当したのは石川島播磨重工業(現・IHI)[2]
  • 1967年(昭和42年)
  • 1970年(昭和45年)11月21日 - 兵庫製油所が操業開始。
  • 1972年(昭和47年)6月 - 沖縄石油精製(現・沖縄石油)に資本参加。
  • 1973年(昭和48年)
    • 7月7日 - 出光石油化学徳山工場にてエチレン装置アセチレン水添塔爆発炎上。社員1名死亡。
    • 10月1日 - 北海道製油所が操業開始。
  • 1975年(昭和50年)
    • 2月 - 出光石油化学千葉工場が竣工。
    • 10月1日 - 愛知製油所が操業開始。以降日本では製油所が建設されておらず、最も新しい製油所である。
  • 1976年(昭和51年)7月 - 日本初の海底油田、阿賀沖油・ガス田の生産開始。
  • 1983年(昭和58年)9月1日 - 無鉛ハイオクガソリン「出光無鉛金アポロガソリン」発売。
  • 1986年(昭和61年)7月1日 - アルキレート配合のハイオクガソリン「出光NEW金アポロガソリン」発売[4]
  • 1987年(昭和62年)
    • 5月7日 - 愛知製油所に日本初の重油流動接触分解装置竣工。
    • 6月20日 - 「出光100ガソリン」(愛称・アポロ100)が無鉛ハイオクで再度発売される[5]
  • 1993年(平成5年)12月1日 - 環境対応ガソリン「出光ゼアス」・「出光スーパーゼアス」発売。[6]
  • 1994年(平成6年)10月 - 北海道製油所に日本初の重質軽油水素化分解装置竣工。
  • 1995年(平成7年) - 日本初のダブルハル(二重殻)VLCCタンカー「スーパーゼアス」建造。
  • 1996年(平成8年)
    • 日付不明 - 「ゼアス」シリーズがガソリンで初めてエコマーク商品に認定。
    • 10月 - 自動車用新潤滑油「出光ゼプロ」シリーズ発売。
  • 1997年(平成9年) - 「ゼアス」シリーズが長野オリンピックの公式ガソリンとなる。
  • 1998年(平成10年)2月 - 全製油所・工場で「ISO14001」の認証を取得。
  • 2000年(平成12年) - CVTトラクションオイルの実用化に成功。
  • 2003年(平成15年)
  • 2004年(平成16年)8月1日 - 出光石油化学を合併。
  • 2005年(平成17年)
    • 4月 - 「ほっと安心、もっと活力、きっと満足。出光の約束。」のキャッチコピーを制定。
    • 10月 - 第三者割当増資を実施。その際、出光佐三の弟・出光弘が創業した「新出光」が出資し、初めて両社に資本関係が生じる。
    • 日付不明 -  サルファーガソリン販売
  • 2006年(平成18年)
    • 3月 - 社名ロゴが明朝体から変更。また、アポロマーク図柄をマイナーチェンジ。旧図柄は耳の部分が「いでみつ」「こうさん」「さぞう」の3つから「3」であったが改められた。アポロマークを囲っていた円も、普通の円からやや右に倒れた楕円形となった。
    • 4月1日 - LPガス部門の出光ガスアンドライフと三菱液化ガスが合併し、アストモスエネルギーが発足。
    • 10月24日 - 東証一部に上場。上場に伴い、創業家は完全に撤退し、経営に関与しない体制が確立。
  • 2007年(平成19年)4月19日 - 有機EL材料を製造する御前崎製造所が操業開始。上場会社にふさわしい強靭な体制を目指し、急ピッチな組織再編を推進。
  • 2009年(平成21年)
    • 7月1日 - 販売会社16社を統合して出光リテール販売が設立される。
    • 9月29日 - 創業100周年事業の一環として福岡県北九州市門司区東本町に会社発祥の地を伝える記念碑を建設[8]
  • 2011年(平成23年)
    • 6月20日 - 創業100周年を迎える。
    • 6月 - 創業100周年記念として長年出光バッテリーで愛された"出光スーパーダイハード"(GS-YUASA製)からパナソニックと共同開発の"ZAXIA"に変更。販売開始。
    • 9月5日 - 米国での潤滑油生産能力を1.5倍に増強し、2013年末までに年間生産能力を10万キロリットルにすると発表。総投資額は約15億円。

関連会社

出光興産グループは2009年(平成21年)7月1日現在、子会社78社および関連会社33社で構成されている。

日本国内

設備診断・メンテナンス業務及び関連商品の販売
会社名 本社所在地 主な事業内容
出光タンカー株式会社 東京都新宿区 原油・石油製品の海上輸送
出光リテール販売株式会社 東京都中央区 石油製品の販売
エスアイエナジー株式会社 東京都港区 石油製品の販売
北海道共同石油備蓄株式会社 東京都新宿区 原油の貯蔵・受払い
沖縄石油株式会社 沖縄県うるま市 石油製品の貯蔵・受払い
アストモスエネルギー株式会社 東京都千代田区 液化石油ガスの輸入・販売
出光ユニテック株式会社 東京都中央区 プラスチック製品の製造・販売
出光テクノファイン株式会社 東京都墨田区 機能性素材の製造・販売
プライムポリマー株式会社 東京都港区 ポリエチレンポリプロピレンの製造・販売
PSジャパン株式会社 東京都文京区 ポリスチレンの製造・販売
出光オイルアンドガス開発株式会社 東京都港区 石油資源の開発
アポロリテイリング株式会社(前名:アポロサービス株式会社) 東京都港区 カー用品の輸入・販売[9]
出光エンジニアリング株式会社 千葉県千葉市美浜区 工場設備の設計・建設・保全
ISエレクトロード・マテリアルズ株式会社 東京都千代田区 透明電極の製造・販売
出光クレジット株式会社 東京都墨田区 クレジットカード業務
出光保険サービス 東京都中央区 保険代理店の運営
出光大分地熱株式会社 東京都千代田区 地熱エネルギー資源の開発

日本国外

国籍 会社名 主な事業内容
香港の旗 香港 出光中華有限公司 原油・石油製品の売買
イギリスの旗 イギリス IDEMITSU INTERNATIONAL(EUROPE) PLC 原油・石油製品の売買
シンガポールの旗 シンガポール Idemitsu International (Asia) Pte.Ltd. 原油・石油製品の売買
Idemitsu Lube (Singapore) Pte.Ltd. 潤滑油の製造・販売
タイ王国の旗 タイ Apollo (Thailnd) Co., Ltd. 潤滑油の製造・販売
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 Idemitsu Lubricants America Corporation 潤滑油の製造・販売
マレーシアの旗 マレーシア Idemitsu SM (Malaysia) Sdn.Bhd. スチレンモノマーの製造・販売
Petrochemicals (Malaysia) Sdn.Bhd. ポリスチレンの製造・販売
中華民国の旗 中華民国台湾 台化出光石油化学股份有限公司 ポリカーボネートの販売
オーストラリアの旗 オーストラリア Idemitsu Australia Resources Pty Ltd 石炭の探鉱・開発・販売
カナダの旗 カナダ Idemitsu Canada Resources Ltd. ウランの探鉱・開発
インドネシアの旗 インドネシア P.T. Idemitsu Lube Tecno Indonesia 潤滑油の製造・販売

販促品

CD

CM

テレビCM出演者

企業CM

  • 2005年(平成17年)より、フランスミヨー橋の空撮映像が登場する「更なる高みへ」編が放映されている。
  • 2012年(平成24年)4月以降は、エンドカットを白地に「ほっと安心、もっと活力、きっと満足。出光」と書いたものに統一した。

提供番組

単独提供

  • 題名のない音楽会テレビ朝日系)- 1964年(昭和39年)の放送開始(東京12チャンネル=現・テレビ東京)から一貫して単独提供している。スポンサー紹介ナレーションは「ほっと、もっと、きっとの出光興産の提供でお送り致します(お送り致しました)」である。それと同時に「ほっと安心、もっと活力、きっと満足。」のキャッチコピーと出光のロゴ(髭文字)が表示されるようになった。(過去は「アポロマークの出光興産がお送りします(お送りしました)」→「出光興産がお送りします(お送りしました)」)2011年(平成23年)4月からの1年間は当社の創業100周年に合わせて「創業100周年の出光の提供でお送りします(お送りしました)。」に変更されていた。
  • 上柳昌彦 ごごばん!ニッポン放送)-「出光ほっともっときっとタイム」コーナースポンサー

複数社提供

テレビ
ラジオ

過去

テレビ
ラジオ

諸問題

  • 出光タンカー廃油投棄事件(1980年(昭和55年))
    • 出光のタンカーが洋上に廃油を不法投棄していた事件が発覚した。出光は原油を運んだ空きのタンカーに廃油を積み込んで洋上で投棄していた。当時、国会でも問題になった。
  • 公害防止協定の虚偽報告(2003年(平成15年))
    • 愛知製油所において、愛知県および知多市との公害防止協定に基づく報告データを虚偽報告した。
    • 2003年(平成15年)1月から2005年(平成17年)12月までの3年間、愛知県および知多市に報告した管理項目の報告データ1,454件中584件において測定データと異なっており、報告値を改ざんしていた。
    • この虚偽報告のうち、ばいじん総排出量1件、ばいじん濃度16件の協定値超過であった。なお、ばいじん濃度16件中2件は「大気汚染防止法」および「電気事業法」の規制値を超過していた。
    • 本事件は、電気事業法に関する中部近畿産業保安監督部の立入り検査(2006年(平成18年)2月22日)中、過去のばい煙管理項目について整合の取れない記録が確認されたことを契機に社内調査した結果判明した。
  • 北海道製油所の火災不届け事件(2003年(平成15年))
    • 北海道製油所における火災を消防署に届けず、報道された。

その他

  • 1919年(大正8年)、酷寒の地・満州で車軸油が凍結し、貨車のトラブルが続出していた南満州鉄道に「2号冬候車軸油」を納入することにより、事故を一掃した。1927年(昭和2年)満鉄創立20周年のときに、感謝状と銀杯が贈られている。
  • 朝日放送の人気番組『探偵!ナイトスクープ』に「アポロマークの首から下はどんな感じなのか調べてほしい」という依頼が送られたことがある。ちなみに同番組のチーフ構成作家・百田尚樹は、当社創業者の出光佐三と日章丸事件をモデルとした小説「海賊とよばれた男」の著者でもある。

脚注

  1. ^ 石油を国有化しイギリスと係争中のイランから、日章丸二世(1万9千重量トン)がアバダンよりガソリンと軽油を満載し、川崎へ入港。英国アングロイラニアン社(BPの前身)は積荷の所有権を主張し、東京地裁に提訴したが、出光の勝訴が決定した。その後のイランとの国交を深める鍵となる。
  2. ^ この建造についてのエピソードはNHKプロジェクトXでも紹介された。
  3. ^ 1970年(昭和45年)ごろまで発売していた。
  4. ^ 昭和シェル石油の「FORMULA Shell Super X」にシェアを奪われ、約1年で新製品に切り替えられた。
  5. ^ 他社は7~8月に発売したが出光興産は創業記念日に合わせて先行発売した。世界初の無鉛100オクタンガソリンでもあった。
  6. ^ ウルトラマンシリーズの一つであるウルトラマンゼアスが映画化されると(CMキャラクターを勤めるとんねるずが、隊員役として出演した)、以後の出光のCMにウルトラマンゼアスやカネゴン等のウルトラ大怪獣が度々出演するようになった。
  7. ^ 当初、同社の手落ちとも報じられたが、長周期の揺れによりタンクの浮き天井が落ちたことが判明。その後、静電気により発火したとされる。
  8. ^ 出光発祥 門司に記念碑 初荷の写真添え 創業100年を記念 ({{subst:和暦|2009}}9月30日 西日本新聞)
  9. ^ かつて、スキッドガード(SKID GUARD)と呼ばれた出光オリジナルのタイヤ(5万キロ磨耗保証付)を販売していた事がある。

関連項目

外部リンク