コンテンツにスキップ

宇宙の形

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Sheiham3 (会話 | 投稿記録) による 2008年3月24日 (月) 17:43個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎宇宙のFLRW模型)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

宇宙の形(うちゅうのかたち、shape of Universe)は、宇宙の幾何学を記述する宇宙物理学のテーマの一つのくだけた呼び名である。宇宙の幾何学は局所幾何(Local geometry)と大域幾何(Grobal geometry)の両方からなる。宇宙の形は、おおざっぱには曲率位相幾何学により分けられ、厳密にはその両方の範疇をはみ出ている。より形式には、このテーマは、どの3-多様体が、4次元の時空の共動座標(en:comoving coordinates)の空間区分(spatial section)に対応するのかを調べることにある。

時空の形宇宙の曲率時空の曲率、とも。

導入

宇宙の形の考え方は、2つに分けられる。1つは、宇宙のどこでも、とりわけ観測可能な宇宙の曲率に関連した局所幾何であり、もう1つは、観測可能とは限らない宇宙全体の位相幾何学に関連した大域幾何である。

宇宙研究者は、通常、共動座標系と呼ばれる、時空の空間的(space-like)スライスを扱う。観測の点からは、 観測可能な時空の区分とは、後方の光円錐(Light cone)(任意の観測者に届く時空を示す宇宙光の地平面の内側)である。距離測度(distance measures)を参照してください。関連する用語であるハッブル体積は、過去の光円錐か、最後に散乱した表面に一致する共動空間を示すために利用される。特殊相対性理論の観点からは、同時性の課題のため、(ある時点の)宇宙の形という考え方は、認識が甘い。同時性の課題からは、異なる場所で、同時にという表現は許容されないため、さまざまな場所の、ある時点における宇宙の形という表現も許容されない。

もし観測可能な宇宙が、宇宙全体より小さい[1]なら、観測者は観測により宇宙全体の構造を決定することは、かなわない。観測可能な宇宙は小さなパッチにすぎない。また。もし観測可能な宇宙が宇宙全体であるなら、観測者は観測により宇宙全体の構造を決定できる。さらに、もし宇宙が(シリンダーのように)ある次元では小さく、またある次元ではそうではない、つまり小さな閉じたループであるなら、観測者は宇宙に多面的な像を見るだろう。

局所幾何(空間の曲率)

局所幾何は、(十分に大きな尺度である)観測可能な宇宙における、任意の点の曲率である。超新星宇宙マイクロ波背景放射といった、多くの天文学的観測は、観測可能な宇宙は、ほぼ一様・等方(homogeneous and isotropic)であり、また加速膨張していることを示している。

宇宙のFLRW模型

一般相対性理論では、局所幾何は、フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量により表される。この模型はフリードマン方程式により表され、流体力学に基づいた—すなわち宇宙を完全流体(en:Perfect fluid)として解釈した—宇宙の曲率(しばしば幾何とも)をもたらす。恒星や質量の構造ほぼFRWLな模型が利用されるが、観測可能な宇宙の局所幾何の推定には、厳密なFLRW模型が利用される。

言い換えると、すべてのダークエネルギーが無視されるなら、またすべての物質は(銀河のような'濃いめ'の物質によりゆがめられているのではなく)均一に分布している仮定すると、宇宙の曲率は、宇宙に存在する物質の平均密度を評価することにより決定される。

この仮定は、以下のような観測により支持されている。宇宙の均質性(en:homogeneity (physics))と異方性(en:anisotropy)は弱く、おおむね一様・等方(en:isotropy)である。

脚注

  1. ^ いくつかの模型では、観測可能な宇宙は、宇宙全体と比べて、桁外れに小さい