コンテンツにスキップ

風景印

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。125.14.132.130 (会話) による 2008年4月25日 (金) 21:49個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎参考文献)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

風景印(ふうけいいん)とは、郵便局記念印の一種で、郵便局名と年月日欄の他に、当該局近辺の名所旧跡などにちなむ図柄が描かれている。通常の消印と異なり、赤茶色(正確には、鳶色=とびいろ)のスタンプインクで押印される。

概説

  • 正式には、風景(絵)入通信日付印(ふうけい(え)いりつうしんにっぷいん)という。
  • 全国2万4千局弱の郵便局のうち約1万局に用意され、局により、周囲が円形の普通印と円形以外をした変形印(りんご・ほたて・いか等)とがある。規定により、サイズは直径36ミリの円内に収まらなければない。
  • いったん使用が始まると、廃止の広報が行われるまで半永久的に使用され続ける。かつては官報で使用が告示されていたが、現在では郵便事業株式会社が広報を行なっている。
  • 大抵は自治体を代表する局(集配郵便局など)や、著名な観光地に位置する局にあるが、中には弘前市藤枝市川崎市名古屋市のように、市内ほとんど全ての局に設置されていることもある。
  • なお、全国約4,600局ある簡易局への配備は、山頂局などごく数局にとどまり、普通局特定局にくらべて配備率は著しく低い。

歴史

1931年7月10日より、富士山局と富士山北局で使用が始まったのを嚆矢とし、ピーク時には1200局以上で使われた。 地域も幅広く、関東州樺太朝鮮台湾南洋など、当時の日本の統治下にあった地域のほとんどで使われていた。 通常の消印とは異なるが、日中戦争時の野戦郵便局でも使用されている。 当時は観光地中心に配備され、形状についての規定が緩やかだった。

だが、戦火が激しくなりゴムが不足してきたため、1940年11月15日限りで使用を中止した。ただし、戦意高揚に役立つなど、時局がら使用の意義が深いものについては摩滅するまで使用を認めた。

戦後は、1948年1月1日に24局の使用開始を以って、風景印の使用が再開されたが、規定が厳密化されたこともあり、変形印は影を潜めていた。 また、1970年代前半までは、戦前の時と同じく、観光地中心に配備された。 ところが、1975年前後からは、観光資源が乏しい住宅地の郵便局でも、集配郵便局を中心に風景印の使用局が増加した。 さらに、1988年以降は、変形印が続々と登場するようになった。 平成に入りぞろ目ブームにを当て込んで使用を始める局が多数出てきたことで、使用局は飛躍的に増加、現在の活況をもたらした。

押印するには

  • 郵便局の郵便窓口で風景印の有無を尋ねた後、50円以上の切手を貼った箇所、またははがきに、風景印を押してくれるよう依頼する。この方法を「記念押印」という。
  • 一方、郵便物として差し出す場合に消印として押してもらう場合は、「引受消印」という。

郵頼

  • また、風景印の押印は郵便で依頼して返送してもらうこともできる。この方法を「郵頼(ゆうらい)」という。具体的には、次の3点を揃えて、依頼したい郵便局の郵便窓口・郵便事業会社の支店に送付する。なお、郵便局によって対応する部署が異なるので封筒の左下に「風景印押印依頼」と朱書きしたほうがいい。同様の手法で、風景印以外の消印を押印してもらうこともできる。ちなみに昭和基地内局、宮内庁内郵便局、しらせ船内郵便局はこの方法を使うのが望ましい。
    • 記念押印用のはがきや台紙(はがき料金分以上の切手-現在では50円以上の切手-が貼り付けてあるもの)ただし、はがき・切手に押印を希望する場合、枚数分の定額小為替・普通為替・現金を同封するという手段は禁止されている。
    • 記念切手・特殊切手への初日印押印に限り、郵頼指定支店・局へのみ定額小為替為替等(郵頼指定の方法)での送金が可能
    • 記念押印の依頼状(押印する位置や日付を図示する)
    • 返送先の宛名を書いた返送用封筒(はがきや台紙の重量に相当する料金分の切手を予め貼り付けておくこと)

使用開始初日の風景印の収集

  • 風景印は一度使用が始まると永続的に使い続けられることから、風景印の収集家には、使用開始の初日のものを集めている人が多い。使用開始の理由には、新規使用、図案改正、局名改称、局種変更等に伴う県名付加や県名削除などがある。今後の使用開始の情報は下記の外部リンクを参照されたい。
  • なお、過去の風景印使用開始に関する情報は、(株)日本郵趣出版から発行されている「風景スタンプ集」から得ることができる。

日本以外の国の風景印

  • 日本以外の国においても、特にスイスドイツではこの風景印が完備しており、通常の消印と同様に押印されるが、日本国のように、赤茶色(郵政は鳶色と呼称)のスタンプインクを使っているところは極めて少ない。日本の風景印は、富士山頂局などの例外を除きほぼ全てが手押しであるが、スイスなどでは機械印も存在する。
  • 中華人民共和国では「風景日戳」と呼ばれる風景印が使用されている。インクの色は黒で直径32mmの丸型であった。
  • 韓国台湾は一時期日本の施政下にあったため、郵政制度は日本と類似していて風景印も存在する。
    • 韓国では「観光記念通信日付印」という。(インクは黒色使用)
    • 台湾で使用している風景印は八角形の捨印で、印面は通常の消印で抹消している。インクは日本と同じく赤茶色のものを使用している。

カナダにおいて最近、風景印が使用開始されました。 リスト:http://www.canadapost.ca/personal/collecting/default-e.asp?stamp=cancels

関連項目

外部リンク

参考文献