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いさぶろう・しんぺい

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いさぶろう
しんぺい
いさぶろう・しんぺい(真幸駅にて)
概要
種類 普通列車
運行開始 1996年3月16日
運営者 九州旅客鉄道(JR九州)
路線
起点 熊本駅人吉駅
終点 吉松駅
営業距離122.5 km (76.1 mi) (熊本‐吉松間)
運行間隔 2往復
使用路線 JR九州:鹿児島本線肥薩線
車内サービス
クラス 普通車
座席 自由席
指定席
その他 「いさぶろう」は下り列車(熊本駅・人吉駅発)のみ、「しんぺい」は上り列車(吉松駅発)のみ
技術
車両 キハ40系(キハ140形・キハ47形)気動車
熊本車両センター
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 非電化
運行速度 最高95 km/h (59 mph)
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いさぶろう・しんぺいは、九州旅客鉄道(JR九州)が熊本駅人吉駅 - 吉松駅間を、鹿児島本線肥薩線経由で運行する普通列車である。

概要

「いさぶろう」「しんぺい」は、1996年平成8年)3月16日に当時人吉駅 - 吉松駅間に4往復運行されていた普通列車のうち、1往復について専用車両を投入の上、固有の列車名を付ける形で運行を開始した。下り(人吉駅→吉松駅)は「いさぶろう」、上り(吉松駅→人吉駅)は「しんぺい」と別々の列車名で運行されている。この区間は日本三大車窓の1つに数えられる矢岳越えを始めとして車窓の良さに定評があり、名所では一時停車したり徐行運転を行うなど、当初から観光列車としての性格が強い列車であった。

2004年(平成16年)に九州新幹線鹿児島ルートが部分開業すると、新たに専用車両を投入したのもあって人気が高まり、当初は1往復、1両編成での運行だったのが現在では2往復、2両または3両編成での運行となっている。2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正では1往復が熊本駅発着に延長されている[1]

2017年(平成29年)3月4日のダイヤ改正から、D&S列車「かわせみ やませみ」デビューに伴い、熊本駅 - 人吉駅間の種別が特急となる予定[2]

列車名の由来

愛称の由来は、「いさぶろう」が人吉駅 - 吉松駅間が建設された当時の逓信大臣山縣伊三郎、「しんぺい」が同区間開業当時の鉄道院総裁であった後藤新平で、矢岳第一トンネルの矢岳方入口に山縣の「天険若夷」、吉松方に後藤の「引重致遠」の扁額が残ることにちなむものである。それぞれ揮毫者の名を冠する列車が揮毫した扁額に向かって走る形となる。

運行概況

熊本駅 - 吉松駅間1往復(1・4号)、人吉駅 - 吉松駅間1往復(2・3号)の計2往復が運行され、下り(熊本駅・人吉駅発)が「いさぶろう」、上り(吉松駅発)が「しんぺい」の列車名となる。種別は全区間普通列車であるが、熊本駅 - 人吉駅間は快速運転を行い、2016年3月25日まで運行されていた特急「九州横断特急」「くまがわ」の代替としての役割も担う。列車種別は全列車「普通」であるが、熊本駅-人吉駅間では快速運転を行うため、この区間の駅では快速列車と案内される。また列車番号も、熊本駅-人吉駅間で運行される快速列車と通しで付番されている。自由席が設置されているため、乗車券や定期券のみで乗車が可能となっており、熊本駅-八代駅間などでは通勤・通学客の利用があり、人吉駅から八代方面にも一般客や通学客の利用が若干であるが見られるようになった。

吉松駅では特急「はやとの風」との接続が考慮されたダイヤを組んでいる。人吉駅発着の1往復は、人吉駅で熊本駅発着の快速列車と接続している。

当初は1両編成であったが、2004年10月9日から通年2両編成となり同時に車内販売も開始された。運行開始当初からワンマン運転を行っているが、車内販売が開始されてからは客室乗務員車内改札を行っている。週末などに3両に増結される場合は車掌が乗務する。

停車駅

熊本駅 - 新八代駅 - 八代駅 - 坂本駅 - 一勝地駅 - 渡駅 - 人吉駅 - 大畑駅 - 矢岳駅 - 真幸駅 - 吉松駅

大畑駅・矢岳駅・真幸駅ではいずれも数分間の停車時間があり、駅の施設を見学したり、ボランティアがいたり売店が営業している場合は地元の特産品などを購入することが可能である。また駅間の眺めの良い所で停車し、客室乗務員による案内が行われる。

使用車両

2016年3月26日時点の編成図
いさぶろう・しんぺい
← 吉松
人吉・熊本 →
A編成
1 2
指自
B編成
1 2 3
指自 自指
C編成
1 2
自指
D編成
1 2
指自 指自
  • 全車禁煙
凡例
指=普通車座席指定席
自=自由席

熊本車両センターに所属しているキハ140 2125・キハ47 9082・キハ47 8159の3両が専用車両として用いられる。普通列車用の車両を「いさぶろう・しんぺい」仕様に改造したもので、キハ140 2125は両運転台、キハ47 9082、キハ47 8159は片運転台である。

通常はキハ140 2125を1号車、キハ47 9082を2号車として運用し(A編成)、多客期にはA編成に3号車としてキハ47 8159を連結した3両編成で運行される(B編成)。またA編成のどちらかの車両が検査に出ている場合は、残った1両にキハ47 8159を連結してC編成(1号車キハ140 2125・2号車キハ47 8159)またはD編成(1号車キハ47 8159・2号車キハ47 9082)として運行している。なお通常はキハ47 9082、キハ47 8159の運転台はともに人吉方にあるため、D編成で運行する際にはキハ47 8159を方向転換して運用する。

外板は古代色(深赤。九州新幹線800系の帯と同色)に塗装され、内装は難燃木材を使用した固定式クロスシートとし、キハ140形の中央部には共用スペースとして窓を拡大した展望席を設置している。

運行開始当初は畳敷きに改造したキハ31形気動車の1両編成で運行されていた。2004年3月13日に車両が変更された際、当初はキハ140 2125の1両のみが専用車両であったが、週末などに一般型車両を増結して2両編成で運行することが常態化していたため、キハ47 9082を追加改造の上で同年10月9日より通年2両運行となった。2009年にはさらにキハ47 8159も「いさぶろう・しんぺい」仕様に改造され、週末などに3両での運行を行っている。

基本的に全車普通車座席指定席であるが、キハ47 9082には人吉方に7席、キハ47 8159には吉松方(D編成の場合は人吉方)に6席自由席が設けられている。ただし自由席は最高でも13席と絶対数が少ないため、JR時刻表には「乗車には事前に指定券を購入することが望ましい」と記載されている。また、これとは別に沿線住民のための優先席がある。なお車両検査などで一般型車両を連結する場合、一般型車両は全車自由席となる。かつては「はやとの風」仕様の車両を連結したこともあった。

沿革

  • 1996年平成8年)3月16日:人吉駅 - 吉松駅間の普通列車のうち1往復に「いさぶろう」「しんぺい」の列車名を付け運転開始。この時点では号数の設定はなし。
  • 2004年(平成16年)
    • 3月13日九州新幹線鹿児島ルート部分開業に伴うダイヤ改正により、以下のように変更する。
      1. 車両をキハ31形気動車からキハ140形気動車に変更。
      2. 定期列車の「いさぶろう」「しんぺい」の前に、毎日運転の臨時列車として「いさぶろう101号」「しんぺい102号」を設定。
    • 10月9日 キハ47形気動車1両を改造し、通年2両編成となる。同時に車内販売の営業を開始。
  • 2005年(平成17年)3月1日:「いさぶろう101号」「しんぺい102号」を定期列車とする。これにより「いさぶろう101号」は「いさぶろう1号」、「しんぺい102号」は「しんぺい2号」、従来の号数設定なしの列車は「いさぶろう3号」「しんぺい4号」となる。
  • 2009年(平成21年)7月18日:キハ47形気動車1両を改造し、「SL人吉」運転日を中心に3両運転を開始。
  • 2016年(平成28年)3月26日:「いさぶろう1号」「しんぺい4号」を熊本駅発着に延長[1]
  • 2017年(平成29年)3月4日:D&S列車「かわせみ やませみ」デビューに伴い、熊本駅 - 人吉駅間の種別が特急となる予定[2]

出典

  1. ^ a b "平成 28 年春ダイヤ改正" (PDF) (Press release). 九州旅客鉄道. 18 December 2015. 2015年12月19日閲覧
  2. ^ a b 平成29年春ダイヤ改正について - JR九州(2016年12月16日)

外部リンク