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マツムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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マツムシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: バッタ目 Orthoptera
亜目 : キリギリス亜目 Ensifera
: コオロギ科 Gryllidae
: Xenogryllus
: マツムシ X. marmoratus
学名
Xenogryllus marmoratus
(de Haan, 1842)
和名
マツムシ(松虫)

マツムシ(松虫、Xenogryllus marmoratus)はバッタ目コオロギ科昆虫。古くはスズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼んでいた、あるいは混同されることが多かったといわれる。

形態

スズムシに似ているが体長は19〜33mmとより大型で、体色は淡褐色。また、付節に吸盤があるためプラスチックやガラスの垂直面を登ることが出来る。

生態

成虫は8月中旬から11月下旬にかけて出現する。日当たりの良い草地に生息し、ススキその他の草本の葉緑素を失った褐色の茎上で生活する。体色はそれらの茎の色に合わせた保護色である。

食物は草本の葉や昆虫の死骸。メスはイネ科植物の茎に産卵する。

日本では本州四国九州に分布。文部省唱歌の『蟲のこゑ』にも歌われているように「チンチロリン、チンチロリン」と表音表記される清澄な鳴き声を聞かせる昆虫として知られる。ただ、実際のその鳴き声は「ティッティリリッ!!」「ピッピリリッ!!」というような鋭くしかも大音量のもので、家の中で飼育しているとしばしば安眠が妨げられるほどである。

スズムシに比べ開けた場所にいるため開発や踏み荒らしなどの被害を受けやすい。また、河川敷の土手も彼らの良好な生息環境を提供するが、反面、増水、洪水による打撃も受けやすく、一度壊滅するとその場所の個体群が回復するのには何年もの月日を要する。

このようなことから、生息域が減少しており、また土中に産卵するスズムシに比べて飼育も難しいため、都市部ではその鳴き声を耳にする機会は少ない。ホームセンター、昆虫専門店等の店頭やインターネット上で時折販売されている個体もスズムシの2倍〜4倍の値が付いており、国産の鳴く虫の中で最も高価な部類に入る。

関連項目