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ポインティング・スティック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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キーボード中央に配置されたポインティング・スティック

ポインティング・スティック英語:pointing stick)とは、コンピュータ用のポインティングデバイスの1種で、主にノートパソコンに採用されている。

概要

この入力デバイスは1990年、IBMの研究者テッド・セルカー(Ted Selker 正式には Edwin J. Selkar)により発案され、後にThinkPad の生産を行うことになる日本IBM大和事業所へみずから実用化をもちかけたのが起源とされる。セルカーは、キーボードのホームポジションから手を離すことなくポインティングを行う装置として、このデバイスを発明した。そこで、デスクトップPC用キーボードの中央にこの装置を埋め込んだ試作品を各地のIBM事業所に持ち込み、デスクトップPC用のデバイスとして売り込んでいた。しかし当時の IBM は乗り気でなく一時は棚上げにされたものの、後にノートPC用の省スペースなポインティングデバイスとして一躍注目されるところとなった。そして日本の技術者の協力を得て、1992年10月公式発表の ThinkPad 700C で初の搭載機が誕生した。同社は「トラックポイント」の商標名を取得し、セルカー、ジョセフ・ラトレッジ(Joseph D. Rutledge)両名義で特許申請も行っている。

この特許を回避する意匠を凝らした製品も登場しており、狭義にはIBM特許の製品のみを指す名称になる。そのため商標名を避けて特定することが難しい。採用各社は独自の命名を行っており、たとえば Synaptics 社の商標 "TouchStyk" をはじめ、いずれにも共通な単語が一つもないため、以下便宜上「ポインティング・スティック」と記するが、これも1996年に旧 IBM の技術を Lexmark から買い取って設立された Unicomp 社が用いたもので、厳密には必ずしも一般名称ではない。

なお「ポインティングデバイス」は当初よりマウスタッチパッド等を含めた総称であり、ポインティング・スティックと同義語では無い。

なお俗説には、マウスを使えない環境、宇宙空間でコンピュータを操作するために、無重量状態の空間で扱えるポインティングデバイスをアメリカ航空宇宙局 (NASA) が要望し、それに応える形で開発された、という異聞がある。

物理的外観は、短い棒状のボタンである。キーボード(一部機種ではパームレスト)の中央部分に設置されたこの「点」に指先で入力指示を与えることで、画面上のマウスポインタを操作する。設置面積が小さく、モバイルに特化して筐体を小型化した UMPC など、タッチパッドの搭載困難な機種にも適している。

IBMおよびIBMのPC事業を引き継いだLenovoによって、デスクトップPC向け搭載製品も継続販売されており、2010年には低価格製品も投入されている。

利点

  • 両手がタイピング時のホームポジションを崩さずに操作できる(マウスのように片手をキーボード上から移動する必要がない)
  • キーボード以外の操作スペースが不要(マウスのようなスペースを必要としない。特に膝上、乗り物内など。タッチパッドの操作域も不要。)
  • 特に圧力センサー(加速度カーソル)ではカーソルの移動が素早い(機械式マウスなどと比較して)
  • 圧力センサーであるために、手をはなす瞬間にポインターがずれることがなく、またキーボード中央にあるため、ゆれる車内でもノートパソコンを保持しやすく安定した操作ができる。
  • タッチパッドで見られる、ミスクリックがおきる頻度は比較にならないほど少ない。

欠点

  • 慣れが必要。ホームポジションへ手を置く習慣のない初心者には直感的でない。
  • マウスやタッチパッドに比べて、手書きによる入力など、複雑な軌跡を描くポインタの移動操作は困難
  • 呼称の場合の交換が容易ではない(PC本体またはキーボード自体の修理となる)

製品

ポインティグ・スティックとタッチパッドを併設した製品

ポインティング・スティックはメーカーによりその呼称が異なる。以下に数例を示す。

なお☆印の付く項目は、2011年2月20日現在日本国内で商標登録のない、固有名称・一般名称である。

ポインティング・スティックは過去、多くのノートパソコンに採用されていたが、筐体の薄型化やコストダウンにおいてより有利なタッチパッドが多く採用されるようになった。現在はThinkPadシリーズや、富士通やソニーのモバイル向け製品、一部の法人向け製品に限り採用されている。

関連項目

外部リンク