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トンブクトゥ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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世界遺産 トンブクトゥ
マリ共和国
サンコレのメデルサ
サンコレのメデルサ
英名 Timbuktu
仏名 Tombouctou
登録区分 文化遺産
登録基準 (ii),(iv),(v)
登録年 1988年
備考 過去に危機遺産に指定 (1990年 - 2005年)
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
トンブクトゥの位置
使用方法表示

トンブクトゥTombouctou)は、西アフリカマリ共和国内のニジェール川沿いに位置する、砂漠の民トゥアレグ族の都市である。ティンブクトゥTimbuktu)とも呼ばれる。

トンブクトゥの歴史

古代より長らく、サハラ砂漠を越えたアフリカ内陸の黒人北アフリカからやってくるベルベル人ムスリムの商人が出会う交易拠点であって、間接的にはヨーロッパから来る商人ともつながっていたことから、この都市にまつわるさまざまな伝説や物語が伝えられた。それらの多くは、到達することの困難さに由来するものであり、ティンブクトゥという言葉は、「異国」や「遠い土地」の比喩として使われるようにもなった。

トンブクトゥは、遊牧民トゥアレグ族の特定の季節だけの野営地が起源であるが、その後、や象牙、奴隷などの交易品が行き来するサハラ砂漠の通商路において重要な中継地として都市へ成長し、この地に興隆したガーナ王国マリ帝国ソンガイ帝国を通じて莫大な富が集まる重要都市となった。

1500年代初頭、トンブクトゥの繁栄は頂点を迎え、その途方もない富の物語や伝説が伝えられたことを動機として、多くのヨーロッパ人がアフリカへの探検に向かうこととなった。16世紀の旅行家・地理学者であるレオ・アフリカヌスが、1512年に繁栄の絶頂にあったソンガイ帝国を訪れて次のような記述を残している。

「トンブト(ママ)の富める王は、金で出来た杯や笏を数多く持ち、その重量は1,300ポンドにもなる(中略)また常時3,000人の騎手を揃え、(中略)さらに多くの医者や裁判官、司祭、学者がおり、彼らは王の財によって手厚く養われている。」

しかし、ポルトガルや他のヨーロッパ諸国から来た探険家や奴隷商人が海路から西アフリカに上陸し、サハラ砂漠を経由しない通商路を開拓するに至って、トンブクトゥは衰退を始めた。さらに1591年にはモロッコ人のスルタンに仕えていたムーア人の傭兵集団に占領されたことが、それに拍車をかけた。後に彼らの子孫は現地の黒人と混合した。1828年にようやくこの町を訪れ生還した初めてのヨーロッパ人である探検家ルネ・カイエは、荒廃した泥の町と報告している。その後、キリスト教徒の伝道者が訪れている。

サグラダ・ファミリアを設計したアントニ・ガウディは、この地の泥土で建てられたモスクの様式に啓発されたと言われている。

トンブクトゥの現状

  • 現在のトンブクトゥは、少し大きな村といった規模で、泥土で出来た家々が並び、ひどい貧困に見舞われている状況にある。
  • かつては10万人以上の人口を数えた都市も、現在は1万人あまりに減少。ただし、現在も砂漠地帯の中の物資の集散地点であることは変わらず、岩塩や手工芸品などの取引が行われている。
  • 近年、周辺が世界遺産に登録されたこと、パリ・ダカール・ラリーの通過地になること(毎年ルートが変わるので注意)から、次第に知名度が高まり、観光客も増えつつあるが、インフラは依然として整っておらず、ホテルのキャパシティも小さい。
  • また、周囲の砂漠化が進行し、町が砂漠に埋もれる危険性も指摘されている。

トンブクトゥへの交通

  • 首都バマコからモプティを経由する不定期空路、陸路、もしくはニジェール川を行き交う乗合船を利用することとなる。

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または景観の顕著な例。
  • (v) 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状況にある場合における、ある文化(または、複数の文化)を代表する伝統的集落、または、土地利用の顕著な例。

姉妹都市

関連項目

外部リンク


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