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ニューキノロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ニューキノロン(New Quinolone)とは、合成抗菌薬の系列の一つである。DNAジャイレースを阻害することにより、殺菌的に作用する薬剤である。キノロン系をもとに人工的に合成・発展させたものであり、作用機序はキノロンと同一である。

経口投与が可能で比較的副作用が少ないということで頻用されている。しかし感染症学の知識を用いて診断を行えば、ほとんどの場合ニューキノロン薬なしで治療は可能である。結核菌に効果があるため、軽はずみに処方すると診断が遅れる。


種類

副作用

中枢神経障害
頭痛やめまい、人格変化の報告がある。
軟骨毒性
これにより妊婦や小児では使えない。
薬物相互作用
NSAIDsとの併用で痙攣がおこることがあると言われているが近年は論争中である。テオフィリンワルファリンの血中濃度を上昇させる。また、制酸剤(Mg製剤)や(Al含有の)胃粘膜保護薬、鉄剤を併用するとニューキノロンの吸収が阻害されるので、ニューキノロンと併用する場合は服用する時間を2~3時間空ける。酸化マグネシウム(マグミット、マグラックス等)を用いる場合は、ニューキノロンを朝にまとめて服薬し、夕がたに酸化Mgを用いるという方法もある。痛みを伴う場合、ロルカムやフルカムといったNSAIDSを用いれば、添付文書上は禁忌にはならない。
心電図異常
QT延長症候群が起こることもある。
腱の異常
高齢者でアキレス腱断裂を起こすことがある。
血糖異常
ガチフロキサシンでは起こりやすい。

使い分け

よく用いられる薬としてはオフロキサシン(OFLX、商品名タリビッド)、シプロフロキサシン(CPFX、商品名シプロキサン)、レボフロキサシン(LVFX、商品名クラビット)、ガチフロキサシン(GFLX、商品名ガチフロ)があげられる。オフロキサシンやシプロフロキサシンは細菌が一回変異しただけで耐性化するがレボフロキサシンは2回以上の変異が必要であるので感受性試験の結果を解釈するのは注意が必要である。

これらの薬は好気性グラム陰性菌には著効するが、それ以外の効果には差がある。レボフロキサシンやガチフロキサシンは肺炎球菌に効果的でシプロフロキサシンは黄色ブドウ球菌によく効くと言われている。前述のようにシプロフロキサシンは耐性化しやすいのでリファンピシンを併用することもある。

なおキノロン系薬剤は、濃度依存性の薬物なので、例えばクラビットを処方するときは、100mgを三回飲むよりも300mgを一回飲んだ方が効果は高い。PK/PDパラメータとしては AUC/MIC または Peak/MIC(Cmax/MIC) を指標とする。

関連項目

参考文献