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「ん」の筆順
「ン」の筆順
ん 、ン は、日本語 の仮名 のひとつである。この音は、撥音 (はつおん、はねるおん)と呼ばれ、1モーラ を形成するが、通常は子音 であり、かつ、直前に母音 を伴うため、単独では音節 を構成せず、直前の母音 と共に音節を構成する。ただし、「ん?」などのように語頭にある場合は、母音に代わる音節の核、すなわち音節主音 として、単独で音節を構成する。したがって、鼻母音以外に発音される限り、すなわち子音である限り、「ん」は音節主音的 な子音である。「ん」は元来五十音 には現われないが、一般にわ行 の次に置かれる。
音韻
現代標準語の音韻 : 日本語を母語とする日本語話者にとっては「ん」はひとつの音、すなわち音素 /N/と認識される。しかし、実際の発音は次項で述べるように前後の音や速度、話者により、[n] (IPA )、[m] (IPA )、[ŋ] (IPA ) = [N] (X-SAMPA )(gの舌の形での鼻音、またはガ行鼻濁音の子音)、[ɲ] (IPA ) = [J] (X-SAMPA )(ニャ行の子音)、その他鼻母音 などが用いられる。ただし、どの発音を用いても意味上の違いは生じない。
音声学的記述
音声学 上の実際の発音: 前項で述べたように「ん」はさまざまに発音される。
後続音が破裂音 、破擦音 および鼻音 のように口腔内を通過する空気を完全に閉鎖する子音 の場合 - それと同一の調音位置 の鼻音。(m)
後続音が側音 として発音されるラ行音・リャ行音の場合はそれと同一調音位置の鼻音化 された側音。
後続音が摩擦音 、弾き音 として発音されるラ行音・リャ行音、半母音 または母音 の場合 - それと同一調音位置の鼻母音 に発音される。(n)
いずれも逆行同化 により、「ん」の調音位置と調音様式 は後続音の影響を受ける。
後続音のない「ん」は鼻音または鼻母音に発音され、口蓋垂鼻音(N)またはその調音位置の鼻母音である。
先行音も後続音もない単独の「ん」は口蓋垂鼻音(N)またはその調音位置の鼻母音である。
順序
五十音順 : 厳密には、「ん」は五十音に含まれないが、通常は、「ん」を含めて五十音順とすることが多い。その場合には、「ん」は五十音の最後、第48位に置かれる。や行 い段 とえ段 のい とえ およびわ行 う段 のう を数に加えると51位、逆に現代仮名遣いで使われないゐ とゑ を除くと46位となる。
いろは順 : なし。第48位に「京」の代わりに置かれることがある。その場合には「す 」の次。
表記
語頭の「ん」
日本語においても、「生まれる」など語頭に鼻濁音[ŋ] がくる単語は存在し、それを「ん」で表現することがある。1944年 に文部省 が制定した『發音符號』にて、語頭の鼻濁音は「ん」と同じであるが、語頭に「ん」を置くのは違和感があるため、「う゚ 」を使用するように定めたが、この表記はほとんど浸透しなかった。現在では上記の表記は「う」が使用されることが多いが、「ん」が使用されることもある。
日本では琉球語 に「ン」から始まる単語が多数見られ、中でも与那国方言において顕著である。
本来「馬 」「梅 」は「ンマ」 (mma)「ンメ」 (mme) と発音されており、それが方言として残っている地方もある。古典的仮名遣いでは、「馬」は「むま」と書かれた。また、これらはいずれも大陸からの移入種であり、遡れば中国語 の「マー」「メイ」という発音にたどり着く。
近年の口語では「そんな」という単語を「んな」と省略して発音する事が増えている(用例:んな事あるわけ無いだろう)。文頭に「ん」が来ている例として指摘できる。
日本の東北方言 には、「んだ」(そうだ)、「んで」(それで)のように、ソ系列の指示語 と助詞 の組み合わせの一部に「ン」から始まる文節がある。
日本語以外の言語に於いても、「ン」から始まる言葉は少ない。ただしこれは外国語音を日本語でどう捉えるか、仮名でどのように表記するかという問題とも関連するため、その多寡を単純には結論づけられない(外国語の単語を仮名表記する際、基本的には鼻音で始まり後続する音が母音でない場合に、「ン」で始まる言葉として表される)。
中国語 の方言である広東語 には「ng」および「m」という音節が存在する。例えば名字 によくある「呉」の発音は「ng」であり、香港の喜劇俳優「呉孟達」の名前を片仮名表記する場合「ン・マンタッ」と書く。
台湾語 (閩南語 )で「黄」の発音も「ng」である。
インドネシア バリ島 の玄関口であるデンパサール国際空港 の正式名称は、ングラライ国際空港 (Bandara Internasional Ngurah Rai / Ngurah Rai Airport) であり、これは独立戦争の英雄グスティ・ングラ・ライに因んでいる。ただしこれについては、「グラライ」の片仮名表記もまた存在する。
アフリカ ではンジャメナ 、ンゴマ 、ンゴロンゴロ 、キリマンジャロ (Kilima-Njaro)、ユッスー・ンドゥール など「ン」から始まる名前・単語が存在する。ただし「ン」の代わりに、「ウン」、「エン」、「ヌ」、「ム」に置き換えられることがある。(エムボマ 、エンクルマ 、ヌデレバ 、タボ・ムベキ )
某という言い換えと同様に、内容をぼかす用法がある。例:数千円のことを「ん千円」と言うなど(ただしこれは口語的表現で、文章の場合は「うん千円」などとするのが伝統的表記)。
「ん」という文字を表す目的で単独で使用されることがある。
いろは四十八組 に「ん組」は存在しなかった。最後に追加された48番目の組は「本組」と称した。
しりとり 遊びにおいては、次につなげられないために、「最後に『ん』のつく言葉を言った者が負け」というルールになっていることがふつうである。
発音が聞き取りにくいため、日本の自動車用ナンバープレート には「ん」が用いられない。
五味太郎 作の絵本 に「んんんん」という作品がある。
岡山県 倉敷市 児島 には、「ん書店」という書店が存在する。
「ん」に関わる諸事項
な行 音などが「ん」に変化する(音便 )ことを、撥音便という。
例:「〜なの です」⇒「〜なん です」、「ぼくの 家(うち)」⇒「ぼくん ち」、「せむ とす」⇒「せん とす」、「〜なる めり」⇒「〜なん めり」
方言の例:「あるの?」⇒「あんの?」または「あるん?」、「あるので」⇒「あるんで」
「はねる音」「撥音」と呼ばれるのは、平仮名の「ん」、片仮名の「ン」ともに字形が「撥ねている」からであり、促音 (つまる音、『っ』)が音声上の特徴から命名されているのとは異なっている。
日本発祥の医薬品の多くに「ン」で終わる商品名がつけられる。これは西洋医学で用いられる化合物の名称が「ン」で終わることが多かったため。
日本語の「ん」
「ん」という文字が使われるようになったのは室町時代 頃とされるが、詳しい時期についてはわかっていない。したがって、それよりも前の時代には「ん」という文字は無く、平安時代 には、「む 」が代用的に使われた。
関連項目