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や行い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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平仮名
文字 𛀆
字源 以の草書体
Unicode U+1B006
片仮名
文字
字源 以の左の部分
言語
言語 ja

この項目では、五十音図や行い段 (yi) について述べる。

発音

古来日本語では「i」と「yi」の区別は存在しなかった。

文字

江戸時代から明治時代の間に、「yi」の音を表す字が考え出された。字の形は文献によってまちまちである。「」と「」はその内の二つに過ぎない。 いずれも五十音図の穴を埋めたり、特殊な音を表したりするための記号である。日常の文章では使わない。

  • 既にある仮名を転用したもの
    • い (平仮名)
    • (「い」の変体仮名。平仮名)
    • イ (片仮名)
  • 新しく作られた仮名
    • [1](点付きの「い」。平仮名)
    • [2](点付きの「」。平仮名)
    • [3](点付きの「イ」。片仮名)
    • [4](「以」の省画。[5]逆さにした「イ」の活字で代用することがある。片仮名)

古来日本語では「あ行のい」と「や行のい」の区別は存在しなかったが、江戸時代に両者を区別すべきだという説が起きた。 白井寛蔭『音韻仮字用例』(1860年刊)でも新たな仮名を創作している。明治初年の教科書の中にも書きわけているものがある[6]

1873年明治6年)の国語教科書では文字教育に五十音図を使用したが、その中で、や行い、や行えわ行うに、あ行の「い・う・お」とは別の仮名を載せたものがあった。片山淳吉「綴字篇」や、文部省編纂『小学校教授書』(師範学校)では五十音図のすべての升目に異なる文字が埋まっている。同じ1873年に出版された『小学読本』の五十音図ではこれらの仮名を使っておらず、その後の教科書でも使われていないが、語法書などではその後もこれらの仮名を使うことがあった[6]

明治前期にこのような事が見られるが、後期以降につくられた書物はや行い、や行え、わ行うの表記は無く、い、え、うに書き変えられている[7]

明治の語法書で射る、鋳るなどに使われることがあった[8]。 → ヤ行上一段活用

符号位置

平仮名については、2017年6月20日公開のUnicodeバージョン10.0で仮名補助(Kana Supplement)ブロックに追加された計285個の変体仮名の中のU+1B006「“𛀆”」(HENTAIGANA LETTER I-1)を使うことができる。[9]

片仮名についてはまだUnicodeに存在しないが、2021年9月公開予定のUnicode 14.0においてU+1B120の符号位置に追加される[10]

表示するには追加多言語面の変体仮名に対応しているフォントが必要である。

脚注

  1. ^ 小学日本文典入門. 巻之1
  2. ^ 小学日本文典入門. 巻之1
  3. ^ 小学日本文典入門. 巻之1
  4. ^ 新式漢文捷径初歩
  5. ^ 新式漢文捷径初歩
  6. ^ a b 馬渕和夫『五十音図の話』大修館書店、1994年(原著1993年)、17-24,93頁。ISBN 4469220930 
  7. ^ 近代デジタルライブラリー - かなづかひ教科書
  8. ^ 村山自彊、中島幹事『仮名遣』開新堂、1891年、9頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/862200/9 
  9. ^ Kana Supplement, Unicode, Inc., http://www.unicode.org/charts/PDF/U1B000.pdf 
  10. ^ Kana Extended-A, The Unicode Standard, Draft Version 14.0

参考文献

関連項目