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エゾオオカミ

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エゾオオカミ
エゾオオカミの剥製北海道開拓記念館
保全状況評価
絶滅環境省レッドリスト
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目(食肉目) Carnivora
: イヌ科 Canidae
: イヌ属 Canis
: ハイイロオオカミ C. lupus
亜種 : エゾオオカミ C. l. hattai
学名
Canis lupus hattai
Kishida, 1931
シノニム
Canis lupus rex
Pocock, 1935
和名
エゾオオカミ
英名
Ezo Wolf、Hokkaido Wolf

エゾオオカミ(蝦夷狼、学名:Canis lupus hattai)は、北海道に分布していたタイリクオオカミの亜種。

分布

前述通り、かつては北海道に分布していたが、明治時代から減少、現在では絶滅したとされる。

形態

頭胴長120 - 129センチメートル、尾長27 - 40センチメートル。体毛は黄色っぽく、尾の先端は黒色。両前足には黒斑がある。吻は細長い。

ミトコンドリアDNA分析では、塩基配列がカナダ・ユーコン川流域に生息するオオカミのものと一致している[1]

生態

タイリクオオカミのものと類似していると考えられている。

7 - 13頭ほどの家族群で行動し、稀に30頭以上の群れを作ることもあった。

主にエゾシカを狩猟対象としていたほか、海岸に打ち上げられたニシンクジラの死体も食べていた。

地面に穴を掘って営巣し、平均で6匹の子を産んだ。

古来からアイヌの人々とは共存しており、「狩する神(ホロケウカムイ)」、「吠える神(ウォセカムイ)」、「鹿を獲る神(ユクコイキカムイ)」と呼ばれ崇められていた。また、イオマンテの対象とされることもあった。

歴史

明治に入り獲物のエゾシカが和人によって乱獲されるようになり、エゾオオカミは代わりに放牧されたウマを襲うようになったため、1877年に開拓使によって賞金がかけられ駆除が始まった。新冠牧場でも、オオカミによるウマへの被害が酷かったためエドウィン・ダンの提案により、1879年の夏から秋にかけてストリキニーネを用いた毒餌により駆除が実施された。

また、1879年には大雪によりエゾシカ大量死が起こり、さらにエゾオオカミは追い詰められていった。

奨励策が廃止された1888年までの間に、1539頭(官庁に駆除されたものも含めると推定2000-3000頭)が駆除された。その後、1896年に函館の毛皮商の松下熊槌によってエゾオオカミの毛皮数枚が扱われたという記録を最後に確認例がない。

絶滅の原因については、前述の理由以外にも複合要因と推測され、そのひとつに狂犬病ジステンパーが挙げられているが、今となっては科学的な原因解明をした報告はない[2]。 南部千島列島においても、オオカミの生存は確認されていない[3][4]千島列島においては、2004年のロシアの報告において「千島列島(南部、北部ともに含む)にはオオカミはおそらく確実にいないと思われる」と記述してあり[5]、また樺太からも絶滅したとされる[2]

エゾオオカミが絶滅した後、北海道ではエゾシカの増加による農業被害が多発する背景もあり、生態系の面からオオカミを再導入しようとする動きもある。

脚注

関連項目

参考文献

外部リンク