「アリババと40人の盗賊」の版間の差分

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女性名モルジアナとマルジャーナの対応関係部分を修正。欧米などで使われているモルジアナ(Morjiana)表記と対応しているのはマルジャーナではなくムルジャーナの方であるため
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『'''アリババと40人の盗賊'''』(アリババと40にんのとうぞく、{{lang-ar|علي بابا}}、{{lang-fa|علی‌بابا}}、{{lang-en|'''Ali Baba and the Forty Thieves'''}})は、イスラム世界に伝わっている物語とされるものの一つである。一般には『[[千夜一夜物語|アラビアンナイト]]』(千夜一夜物語)の中の一編として認識されることが多いが、『アラビアンナイト』の原本には'''収録されていなかった'''(後述「アラビアンナイトとの関係」を参照のこと)。
 
主人公のアリババの「ババ」という言葉は、アラビア語・ペルシャ語で「[[父親|お父さん]]」の意である。
 
== あらすじ ==
昔、[[ペルシア|ペルシャ]]の国に、貧乏だが真面目で働き者の'''アリババ'''という男がいた。ある日、アリババがロバを連れて近くの山へ行き、薪を集めていると、40人の[[盗賊]]の一団が奪った宝を洞穴の中に隠しているのを偶然目撃した。盗賊の頭領が「[[開けゴマ|おいシムシム、お前の門を開けろ!]]」<ref>前嶋信次の訳による。『アラビアン・ナイト 別巻』アラジンとアリババ、東洋文庫443)p.198,200,213など、[[平凡社]]〈[[平凡社東洋文庫]]〉、1985年3月8日初版第1刷</ref><ref>原典のアラビア語では、「イフタフ(開け)・ヤー(おい)・シムシム(胡麻)」と言う。日本では一般に「開け、胡麻」と訳されていることが多いが、これは英語版に見られる「Open Sesame」からの[[翻訳#重訳|重訳]]である。</ref>(「おいシムシム、お前の門を開けろ!」とも。「シムシム」は[[ゴマ|胡麻]]の意味でアラビア語では <span lang="ar" dir="rtl">سمسم</span>(simsim, スィムスィム)と表記・発音される)という呪文を唱えると、洞穴の入口をふさぐ岩の扉が開き、盗賊たちが洞穴の中に入ると自動的に岩の扉が閉まる。しばらくすると再び岩の扉が開き、盗賊たちが外に出てきた後、扉は再び閉まった<ref>岩の扉を閉じる呪文については、原典には記載が無い。</ref>。その一部始終を木の陰に隠れて見ていたアリババは、盗賊たちが立ち去るのを待って自分も洞穴の中に入り、手近な場所に置いてあった金貨の袋をロバの背中に積めるだけ積んで家へ持ち帰った。
 
かくして大金持ちになったアリババは、このことを妻以外の者には秘密にしていたが、不運にも元から金持ちの兄・'''カシム'''に知られてしまった。強欲でねたみ深い性格のカシムは、金貨を手に入れた経緯と洞穴の扉を開けるための呪文をアリババから無理やり聞き出し、自分も財宝を狙って洞穴に忍び込んだ。ところが、洞穴の中の財宝に夢中になり過ぎて、扉を再び開ける呪文を忘れてしまい、洞穴から出られなくなったところを、戻ってきた盗賊たちに見付かり<ref>「すぐに見つかった」とするものと「もう少しで盗賊たちが洞穴から出ていくところまで身を隠していたが、クシャミをして見つかった」とするものとがある。</ref>、カシムはバラバラに切り刻まれて惨殺されてしまった。
 
カシムがいつまでも帰ってこないのを心配したアリババは、翌日になって洞穴へ向かい、盗賊たちの手でバラバラにされたカシムの死体を発見した。驚いたアリババは、カシムの死体を袋に入れ、ロバの背中に乗せて密かに持ち帰り、カシムの家に仕えていた若くて聡明な女[[イスラームと奴隷制|奴隷]]の'''モルジアナ'''<ref>モルジアナ自体は、元になったアラビア語女性名 مُرْجَانَة(Murjānah ないしは Murjāna, ムルジャーナ)の口語発音(方言発音)「モルジャーナ(Morjāna)」に対するラテン文字(英字などのこと)での当て字「Morjiana」などを日本語のカタカナで表したものである。
 
『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』のこの登場人物に関しては日本語書籍・記事によってカタカナ表記違いである女性名マルジャーナ(مَرْجَانَة, Marjānah ないしは Marjāna)も用いられているが、上のムルジャーナと同綴の同一語に対する発音違いとなっている。