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[[ファイル:Builder's plate of Teikoku Syaryo 001.JPG|thumb|right|200px|車内銘板の一例<br />[[南海7000系電車]]<br />この一つ前のデザインは水色と黄色のカラフルなものであった<ref>{{Cite web|和書|date=2021-02 |url=http://www.nankai.co.jp/traffic/goods/tetsudoubuhin_auctions.html |title=南海電鉄 インターネットオークション |publisher=南海電気鉄道 |accessdate=2021-02-23}}</ref>。]]
'''帝國車輛工業株式会社'''（ていこくしゃりょうこうぎょう）は、かつて[[大阪府]][[堺市]]に本社を構えた[[鉄道車両]]メーカー。「'''帝国車輌'''（略称:帝車）」と呼ばれた。
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[[1890年]]（[[明治]]23年）頃（創業年については諸説あり{{Refnest|group="注"|[[阪堺鉄道]]から線路用具の製作を委託されたのが明治22年としている<ref>[{{NDLDC|1155035/571}} 『堺市史. 第3巻 本編 第3』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}）、堺市で[[金属工学|冶金]]業を営んでいた[[梅鉢安太郎]]{{Refnest|group="注"|1937年ころ大阪府多額納税者、堺商工会議所顧問、堺産業[[無尽会社|無尽]]取締役<ref>[{{NDLDC|1072916/397}} 『人事興信録. 第11版(昭和12年)』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}が[[大鳥郡]][[向井町|向井村]]（現・堺市[[堺区]]）に個人工場として'''梅鉢鐵工所'''（うめばちてっこうしょ）を創業。創業時は主に地方都市の[[路面電車]]や[[客車]]、鉄道関連機器を中心に製作した。[[1908年]]（明治41年）には国産初となる[[ダイヤモンドクロッシング|ダイヤモンドクロッシング分岐器]]を製作した{{Refnest|group="注"|明治42年の職工数50人<ref>[{{NDLDC|802718/455}} 『工場通覧. 2冊 明治42年12月末日現在』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}。1909年（明治42年）ポイントクロッシング、1914年（大正3年）にインターロッキングの指定工場となる<ref name="shishi">[{{NDLDC|1155035/571}} 『堺市史. 第3巻 本編 第3』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref><ref>『日本鉄道車輌工業史』99頁</ref>。
その後大都市の路面電車なども手がけ、[[1921年]]（[[大正]]10年）に[[鉄道省]]客車指定工場{{Refnest|group="注"|同年には[[新潟鉄工所]]、田中車輛（現・[[近畿車輛]]）、[[藤永田造船所]]も指定工場になっており、[[改正鉄道敷設法]]をむかえ車両を確保する必要からとみられる<ref>『日本鉄道車輌工業史』99-100頁</ref>。}}となるなど発展の道を歩んでいった梅鉢{{Refnest|group="注"|このころの職工239人<ref>[{{NDLDC|931905/368}} 『工場通覧. 大正10年11月』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}<ref group="注">鉄道省の公文書ではこの他'''梅鉢鐵工場'''（うめばちてっこうじょう）あるいは'''梅鉢工場'''（うめばちこうじょう）と社名を記載した例が見られる。この事実が示すとおり、創業から梅鉢車輛への改組までの個人経営時代の正式社名については諸説があり、この頃の鉄道時報等に掲載された広告や関係者の証言でもバラバラに用いられていたことから、社名については非常にルーズな取り扱いがなされていたことが判る。ただし、各社の車両竣工図においては梅鉢鐵工所名義での記載が大半を占めており、また車両[[銘板]]でもこの名義での表記が多数派であったため、一般、特に鉄道趣味者の間では'''梅鉢鉄工所'''と呼び習わされていた。</ref>は当時の[[日本統治時代|日本の統治地域]]（[[台湾]]・[[満洲]]・[[朝鮮]]）での鉄道車両の需要が高くなってきたことから、本格的に鉄道車両製造に参入、[[1936年]]（[[昭和]]11年）に[[株式会社]]化と同時に'''梅鉢車輛株式會社'''（うめばちしゃりょう）{{Refnest|group="注"|社長梅鉢安太郎<ref>[{{NDLDC|1074326/230}} 『日本全国銀行会社録. 第45回(昭和12年)』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}に改称するが、[[1939年]]（昭和14年）に京成電気軌道（現・[[京成電鉄]]）の傘下に入る{{Refnest|group="注"|株数12万株のうち59900株保有<ref>[{{NDLDC|1070997/99}} 『東洋経済株式会社年鑑. 第20回(昭和17年版)』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}。[[1940年]]（昭和15年）には[[泉北郡]][[鳳町]]（現・堺市[[西区 (堺市)|西区]]）に開設された鳳工場へ移転し、[[1941年]]（昭和16年）に'''帝國車輛工業株式會社'''{{Refnest|group="注"|社長は京成電気の[[後藤圀彦]]<ref>[{{NDLDC|1082944/121}} 『日本全國銀行會社録. 第50回 下卷』]（国立国会図書館デジタルコレクション）</ref>。}}に改称した。[[1946年]]（昭和21年）、京成電
戦後は[[日本国有鉄道|国鉄]][[国鉄キハ20系気動車|キハ20系]]グループや[[南海電気鉄道]][[南海11001系電車|11001系]]などを製造したが、[[1968年]]（昭和43年）に[[東急車輛製造]]と[[合併 (企業)|合併]]<ref group="注">書類上は東急車輛製造との対等合併だが、事実上東急車輛製造への吸収であった。</ref>した。
なお、鳳工場改め東急車輛製造大阪製作所は、[[鉄道車両工業|鉄道車両製造]]部門を横浜製作所（現・総合車両製作所横浜事業所）に移管したため[[特殊自動車]]や鉄道関連機器の製造のみに携わったが、[[2003年]]（[[平成]]15年）に廃止され、和歌山製作所<ref group="注">[[和歌山県]][[紀の川市]]、当時は[[那賀郡 (和歌山県)|那賀郡]][[打田町]]。</ref>に移転した。跡地は政府の緊急都市基盤整備地域に指定され、ショッピングセンター[[アリオ鳳]]（[[イトーヨーカ堂]]を核とするショッピングセンター）がオープンした他、高層マンションをはじめとする住宅や南花田鳳西町線（道路）が整備された。一方、和歌山製作所は東急車輛製造が事業を分割譲渡した際に鉄道車両事業を継承した新東急車輛改め[[総合車両製作所]]（[[東日本旅客鉄道|JR東日本]]に売却）が譲受し和歌山事業所に改名され、コンテナや分岐器などの鉄道関連機器を専ら製造している<ref group="注">特殊自動車については東急車輛製造の特装自動車事業を継承した東急車輛特装改め東邦車輛（[[新明和工業]]に売却）に集約された。また軌道関連部品については2018年度末をもって撤退している。</ref>。
== 工場 ==
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== 鉄道車両 ==
戦前は主に路面電車や客車、気動車、それに鉄道関連機器を製作し、後には高速電車を多数製作した。
路面電車においては、最初期の製品として[[京都電気鉄道]]向けが著名であり、現在[[博物館明治村]]にて動態保存されているN電（1,2）も1911年（明治44年）の梅鉢製である
また、気動車においては南越鉄道、[[赤穂鉄道]]、[[西大寺鉄道]]、[[井笠鉄道]]、そして[[熊延鉄道]]など、西日本の中小鉄道を主体に堅牢な車体を備えた車両を供給した。特に南越鉄道ガ1は日本国内における1067mm軌間最初のものであり、また日本最初の両運転台式ガソリン動車でもあった。また、これらは寿命の長い物が多く、機関換装などの改造は実施されたものの、その最後の現役車両となった[[井笠鉄道客車第10号形気動車|井笠鉄道ホジ7〜9]]は、実に[[1971年]]の同社線全廃まで在籍した。
高速電車では後発であったが、[[阪和電気鉄道の車両|南海鉄道山手線クタ7000]]など、鉄道省客車指定工場としての経験を生かして当時の水準以上の車両製作に携わっており、その流れで戦後製作した[[国鉄80系電車]]は、他社製と見比べると一目でわかるほどの抜群の車体の仕上がりの良さを激賞された。▼
▲高速電車では後発であったが、[[阪和電気鉄道の車両|南海鉄道山手線クタ7000]]など、鉄道省客車指定工場としての経験を生かして当時の水準以上の車両製作に携わっており、その流れで戦後製作した[[国鉄80系電車]]は、他社製と見比べると一目でわかるほどの抜群の車体の仕上がりの良さ。とりわけ外板歪みの少ない鋼製車体を激賞された{{誰によって|date=2022-11}}。
戦後は国鉄の[[気動車]]や[[電車]]<ref group="注">当初は電車も手がけたが、後に気動車の指定メーカーとなった。この事は同様に気動車の指定メーカーであった東急車輌との合併の一因となった。</ref>、大手私鉄では南海電気鉄道、帝都高速度交通営団（営団地下鉄、現・[[東京地下鉄]]）、京成電鉄の[[電車]]、それに近隣の[[アルナ車両|ナニワ工機（現・アルナ車両）]]と分担して共通設計で中小私鉄・路面電車向け車両などを製造した。なお、帝国車輌時代からの取引の名残<ref group="注">京成が東急車輛との取引を開始したのは帝國・東急車輛合併後からである。</ref>で、南海、そして後年分離した子会社の[[阪堺電気軌道]]の車両は吸収合併後も東急車輛製造で製造されていた<ref group="注">東急車輛製造が総合車両製作所横浜事業所となった後も[[南海8000系電車 (2代)|南海8000系]]を製造している。</ref>。ただし、合併前にも[[南海6000系電車]]などが東急車輛製造で製造されている。1946年に資本関係がなくなった後も京成との関係は深く、1968年の東急車輛製造への吸収まで、[[京成1600形電車|1600形]]の新製車除く京成電鉄の各形式の約半数を製造した。また、当社が製造した[[西武鉄道]]向け車両の[[艤装]]を京成の車両工場技術者が西武の工場まで出張して行なう事もあったという（京成向け車両の艤装は京成の工場で行なっていた）<ref>石本祐吉 「京成電鉄とともに - OBの方々に聞く往年の京成 - 」『鉄道ピクトリアル』787号、2007年、120頁。</ref>。吸収合併後も、東急車輛・総合車両が京成の新製車の約半数を製造している<ref group="注">なお、京成の関連会社においては[[新京成電鉄]]は[[京成200形電車#250・550形|初の自社発注車]]は東急製であった（ただし初の新性能電車である[[新京成電鉄800形電車|800形]]以降は[[日本車輌製造]]に集約）他、[[北総鉄道]]の新製車の一部が東急製となっている。</ref>。▼
このため国鉄からも複数形式の車両を製造する際、特に美観に優れることの望ましい優等車製作に抜擢されることがしばしばあった。
▲戦後は国鉄の[[気動車]]や[[電車]]<ref group="注">当初は電車も手がけたが、後に気動車の指定メーカーとなった。この事は同様に気動車の指定メーカーであった東急車輌との合併の一因となった。</ref>、大手私鉄では南海電気鉄道、帝都高速度交通営団（営団地下鉄、現・[[東京地下鉄]]）、京成電鉄の
車内銘板プレートは3つのデザインがあり、とくにスカイブルーを基調とした2代目銘板は3パターンもある。
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* 沢井実『日本鉄道車輌工業史』日本経済評論社、1998年、37、96-97、140-142、180-181頁
=== 戦後製造された主な車両 ===
* [[日本国有鉄道]]
** [[国鉄70系電車]]
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* [[三重交通]]
** [[三重交通サ360形電車|サ360形]]<ref group="注">ナニワ工機と2両ずつ2回、同型車を分担して製作。</ref>
* [[西日本鉄道]]
** [[西鉄1000形電車 (軌道)#北九州線向け車両|西鉄北九州線1000形電車]]<ref group="注">一部のみ。</ref>
* [[台湾鉄路管理局]]
** 35SP32550形客車
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{{デフォルトソート:ていこくしやりよう}}
[[Category:日本の輸送機器メーカー|廃]]
[[Category:日本の鉄道車両メーカー|廃]]
[[Category:かつて存在した大阪府の企業]]
[[Category:東急グループの歴史]]
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[[Category:堺市西区の歴史]]
[[Category:東急車輛製造|社ていこくしやりようこうきよう]]
[[Category:1968年の合併と買収]]
[[Category:1968年廃止の企業]]
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