マツダ・SKYACTIV-D

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マツダ・SKYACTIV-D(マツダ・スカイアクティブ ディー)は、マツダ開発、および製造するディーゼルエンジンの名称。SKYACTIV TECHNOLOGYのひとつ。

概要

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MAZDA6に搭載されるSH-VPTR型エンジン
 
CX-3に搭載されるS5-DPTS型エンジン

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ熱効率が良いため燃費も良い。しかし、ガソリンエンジンよりも高い圧縮比を使用するため、ピストン死点における圧縮温度圧力も高くなる。圧縮温度が高い状態で燃料を噴射すると軽油が油滴の状態で直ちに着火して、不均等な燃焼が起こり、が発生してNOxの生成量も多くなる。また、高い圧力に耐えるためには、ピストンやシリンダーなどの強度を高める必要があり、各部品の重量がかさんでエンジン総重量が増す。

マツダはディーゼルエンジン特有の欠点を独自の技術として、ディーゼルエンジンの低圧縮比と最大筒内燃焼圧力の低下を実現させた。また、ピストン、シリンダーヘッドシリンダーブロックの小型・薄肉化による大幅な軽量化を達成。同時に、排気側バルブへのVVL採用や2ステージターボチャージャー(SKYACTIV-D 1.5/1.8はシングルの可変ジオメトリーターボ[1])の採用により、排ガス浄化装置としては高価かつ複雑な部類となる尿素SCRシステムなどの装置を用いずにディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)のみで高い環境性能を達成している。

また、2000年代以降の日本製自動車エンジンにおいては、エンジンの効率を高める目的から粘度の低いエンジンオイルを用いることが一般的になっており、SKYACTIV-Dにおいても2.2LのSH系では0W-30、1.5LのS5系と1.8LのS8系では0W-20または0W-30のマツダ純正SKYACTIV-D専用エンジンオイル(製品名「純正ディーゼルオイルエクストラ SKYACTIV-D」)が指定オイルとして推奨されている[注 1]

日本は原油を輸入に頼っているにもかかわらずガソリンエンジン車への依存度が高く軽油を余らせており、軽油は逆に輸出している現状(実際ENEOSのデータでは供給量(製造+輸入)に対する輸出の比率はガソリンが0.01%に満たないのに対し、軽油は12%となっている[6]。)に触れ、マツダは「ディーゼル車の普及により国内での軽油使用量を増やすことで、日本のエネルギーバランスを最適にし、CO2排出量を削減しながら貴重な輸入資源を無駄なく効率的に使うことができる」と主張している。

2020年3月、マツダは直列6気筒のSKYACTIV-Dの投入を行うことを発表[7]

2022年、CX-60などのラージセグメント用のエンジンとして、3.3L直列6気筒エンジンが開発された。[8]

諸性能

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SKYACTIV-D 1.5

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型式 S5-DPTS S5-DPTR
シリンダー配置 水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴エンジン VGターボ
排気量 1,497 cc
ボア 76 mm
ストローク 82.5 mm
圧縮比 14.8:1
燃料噴射装置 コモンレール
最高出力 77 kW(105 PS)/ 4,000 rpm
最高トルク 220 Nm(22.4 kgf·m)/ 1,400-3,200rpm(デミオMT車)
250 Nm(25.5 kgf·m)/ 1,500-2,500rpm(デミオAT車)
270 Nm(27.5 kgf·m)/ 1,600-2,500rpm(アクセラ)
i-ELOOP連携 -
搭載車種

SKYACTIV-D 1.8

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型式 S8-DPTS S8-DPTR
シリンダー配置 水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴エンジン VGターボ
排気量 1,756 cc
ボア 79.0 mm
ストローク 89.6 mm
圧縮比 14.8:1
燃料噴射装置 コモンレール
最高出力 85 kW(116 PS)/ 4,000 rpm
95 kW (130 PS) / 4,000 rpm
最高トルク 270 Nm(27.5 kgf·m)/ 1,600-2,600rpm
i-ELOOP連携 -
搭載車種
  • S8-DPTS/S8-DPTR

SKYACTIV-D 2.2

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空冷式の変則ツインターボで加給を行う。2つのタービンは直列に配置されており、最初に小型タービン、続いて大型タービンが設置されている。出力は初期型が175馬力であったが、エッグ形状のピストン断面を採用した改良型では190馬力となり、のちに200馬力となった。2018年ぐらいまでの初期型には排気側カムシャフトが異常摩耗するという問題があり、ターボチャージャが破損したり、エンジンブローに至るトラブルが頻発した。また、排気バルブの1つが動かなくなるために排圧があがり、ガスケットが吹き抜けたり、オーバーヒートする症状が発生することがある。EGRへの排気の抽出は触媒とDPFフィルターの手前から行われている。

型式 SH-VPTS SH-VPTR
シリンダー配置 水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴エンジン 2ステージターボ
排気量 2,188 cc
ボア 86 mm
ストローク 94.2 mm
圧縮比 14.0:1(129KW仕様) / 14.4 : 1(140KW仕様・147KW仕様)
燃料噴射装置 コモンレール
最高出力 129-140 kW(175-190 PS)/ 4,500 rpm
147 kW (200 PS) / 4,000rpm
最高トルク 420-450 Nm(42.8-45.9 kgf·m)/ 2,000rpm
i-ELOOP連携 -
BMEP 25.84 bar
搭載車種

SKYACTIV-D 3.3[9]

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水冷式インタークーラーを備えたシングルターボディーゼルエンジン。タービンは前後逆方向に設置され後方からエアを吸入する。タービンの排気は前方側に排出され、直後に設置された触媒とDPFフィルターを通過する。EGRへの排気の抽出はDPFフィルターを通過したあとのマフラーから行われる。SKYACTIV-D 2.2のエッグ型燃焼室を更に進化させたWエッグ型燃焼室を採用する。

型式 T3-VPTS    
シリンダー配置  水冷直列6気筒DOHC24バルブ直噴エンジン VGターボ
排気量 3,283 ㏄
ボア 86.0 mm
ストローク 94.2 mm
圧縮比 15.2
燃料噴射装置 デンソー製i-ART ピエゾ式 250MPa
最高出力 187kW(254 PS)/ 3,750 rpm
12.4kW(16.9 PS)/ 900 rpm (モーター最高出力)
最大トルク 550Nm(56.1 kgf・m)/ 1,500-2,400 rpm
153Nm(112.8 kgf・m)/ 200 rpm (モーター最大トルク)
モーター MR46型永久磁石式同期モーター
BMEP 21.05 bar

搭載車種

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脚注

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注釈

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  1. ^ 代替品として、JASO DL-1規格適合5W-30エンジンオイルも使用可能である[2][3]。なお、ヨーロッパ向けおよび国内向けでもCX-60に関してはACEA C3規格適合0W-30あるいは5W-30エンジンオイルとなっている[4][5]。ただし、欧州向けにおけるこの違いは単に仕向け地の違いによる入手性の違いからなのか、それとも仕向け地でDPFが異なるからかは不明。また、CX-60の取扱書上の書き方(指定規格が「ACEA C3」のみで「JASO DL-1」がないが推奨銘柄が「純正ディーゼルオイルエクストラ SKYACTIV-D」となっている)から、純正オイル容器には粘度のみでJASOおよびACEAの各規格の表記はないもののACEA C3相当と推定される。社外品でもモービル1のESPフォーミュラのようにJASO DL-1とACEA C3の両方に対応したものもある。なお、これらのエンジンに組み合わされるDPFはポスト燃焼方式のためエンジンオイルの希釈が発生し、そのためSKYACTIV-Dのオイルレベルゲージには希釈上限があり、この上限に達した場合は交換する必要がある[2][3]

出典

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関連項目

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外部サイト

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