天書』(てんしょ・あまつふみ・あめのふみ)は、奈良時代末期に藤原浜成の撰とされる編年体歴史書。『天書記』・『天書紀』・『浜成天書紀』とも。全10巻。藤原浜成の撰とする説は確かめ得ないが、浜成が大納言に昇った事実は無い。三種あるが、一部は古史古伝に分類されることもある。

概略

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『天書』には三種ある。

  1. 逸文の『天書』(逸文のみで現存せず)
    長寛勘文』に1条、『釈日本紀』に28条、『諸社根元記』、『日本書紀纂疏』において逸文が引かれている。
  2. 『天書』(詳本)。全十巻(神代から皇極天皇までの編年体の史書)
    逸文をおおよそ含んでいるので上記の1と同じものとも考えられるが、逸文を基にした近世偽書との説もあり、『天書』逸文とこの詳本との異同については結論が出ていない。
  3. 『天書紀』(略本)。全十巻(神代のみの物語)
    内容は逸文と相違し、『本朝書籍目録』に「天書十巻」「大納言藤原浜成撰」とあることから、後世の偽書であるとされる。

刊行本

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  • 『神道大系』古典編13 神道大系編纂会編 1992年 

写本

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『天書紀』 - 文和2年(1353年)の卜部兼夏の写本を永享9年(1437年)に藤原雅世が写した旨の奥書がある同系本。神代のみを記した略本で、偽書の疑いが特に濃いとされる。

『天書』 - 『天書紀』とは異なる系統本。神代から皇極天皇までの編年体史書。

関連項目

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  • 歴史書一覧
  • 斎部浜成 - 斎部浜成の息子ともされる斎部広成が著した『古語拾遺』の識語に「浜成が作る所の天書は、古事記に非ず。別書なり」と記載されており、斎部浜成を『天書』の撰述者としている。