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「有料老人ホーム」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
有料老人ホームとは、常時1人以上の[[老人]]を入所させて、'''生活サービスを提供する'''ことを目的とした施設で[[老人福祉施設]]でないものをいう。ここでいう「老人」とは65歳以上の高齢者をいう。
有料老人ホームとは、常時1人以上の[[老人]]を入所させて、'''生活サービスを提供する'''ことを目的とした施設で[[老人福祉施設]]でないものをいう。ここでいう「老人」とは65歳以上の高齢者をいう。[[住所地特例]]の対象である


[[建築基準法]]による用途規制により、12種ある[[用途地域]]のうち[[工業専用地域]]では建築できない。その他の11の用途地域において建築可能である。
有料老人ホームを設置しようとするものはあらかじめ都道府県知事へ事前に届け出る義務がある。民間企業が経営しているケースが多く、料金設定も様々(数百万円 - 数千万円)で入居一時金を支払う(終身)利用権方式、賃貸借方式、終身建物賃貸借方式がある。介護保険の適用の有無、介護サービスの内容に応じて、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つのタイプの有料老人ホームに分けられる。[[2006年]]4月の法改正により、10人以上との人員基準が撤廃された。2006年以降は、都道府県により介護保険料抑制のため、年次における新規開設数が抑制されている。


有料老人ホームを設置しようとするものは、あらかじめ[[都道府県知事]]へ届け出る義務がある。但し、[[サービス付き高齢者向け住宅]]として[[都道府県]]・[[政令市]]・[[中核市]]に登録していれば、届出は不要(老人福祉法第29条第1項)。
[[2000年]]の[[介護保険法]]施行以後、日本国内には民間事業者による設立が相次ぎ、全国で2000軒以上設立されている。2000年以降に設立されたものは、主に要介護者向けの有料老人ホームである。平均的な有料老人ホームは居室数50室ほどを持ち、約18平方メートルほどのトイレ付個室が標準である。リビング・ダイニングや機械浴を含む浴室は共用となっている。


[[介護保険]]の適用の有無、介護サービスの内容に応じて、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つのタイプの有料老人ホームに分けられる。
[[建築基準法]]による用途規制により、有料老人ホームは、12種ある[[用途地域]]のうち[[工業専用地域]]では建築できない。その他の11の用途地域において建築可能である。
平均的な有料老人ホームは居室数50室ほどを持ち、約18平方メートルほどのトイレ付個室が標準である。リビング・ダイニングや機械浴を含む浴室は共用となっている。
民間企業が経営しているケースが多く、料金設定も様々(数百万円 - 数千万円)で入居一時金を支払う(終身)利用権方式、[[賃貸借]]方式、終身建物賃貸借方式がある。

[[2000年]]の[[介護保険法]]施行以後、日本国内には民間事業者による設立が相次ぎ、全国で2000軒以上設立されている。2000年以降に設立されたものは、主に要介護者向けの有料老人ホームである。
[[2006年]]4月の法改正により、10人以上との人員基準が撤廃された。2006年以降は、都道府県により介護保険料抑制のため、年次における新規開設数が抑制されている。


== 問題 ==
== 問題 ==

2013年11月17日 (日) 11:47時点における版

有料老人ホーム(ゆうりょうろうじんホーム)とは、老人福祉法第29条に規定された高齢者向けの生活施設である。

概要

有料老人ホームとは、常時1人以上の老人を入所させて、生活サービスを提供することを目的とした施設で老人福祉施設でないものをいう。ここでいう「老人」とは65歳以上の高齢者をいう。住所地特例の対象である。

建築基準法による用途規制により、12種ある用途地域のうち工業専用地域では建築できない。その他の11の用途地域において建築可能である。

有料老人ホームを設置しようとするものは、あらかじめ都道府県知事へ届け出る義務がある。但し、サービス付き高齢者向け住宅として都道府県政令市中核市に登録していれば、届出は不要(老人福祉法第29条第1項)。

介護保険の適用の有無、介護サービスの内容に応じて、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つのタイプの有料老人ホームに分けられる。 平均的な有料老人ホームは居室数50室ほどを持ち、約18平方メートルほどのトイレ付個室が標準である。リビング・ダイニングや機械浴を含む浴室は共用となっている。 民間企業が経営しているケースが多く、料金設定も様々(数百万円 - 数千万円)で入居一時金を支払う(終身)利用権方式、賃貸借方式、終身建物賃貸借方式がある。

2000年介護保険法施行以後、日本国内には民間事業者による設立が相次ぎ、全国で2000軒以上設立されている。2000年以降に設立されたものは、主に要介護者向けの有料老人ホームである。 2006年4月の法改正により、10人以上との人員基準が撤廃された。2006年以降は、都道府県により介護保険料抑制のため、年次における新規開設数が抑制されている。

問題

入居一時金、介護サービスの質等に関し、有料老人ホームに関する苦情が、国民生活センターなどに多く寄せられるようになった。特に、入居して90日以内の退所や死亡によって解約する場合に、一定額を差し引きつつ利用料を返還する、いわゆる「90日ルール」の義法制化が目指されている[1]。しかし、法制化したとしても90日を超えてからの退所・死亡により解約する場合の入居一時金の保護の問題はなお残る[2]東京大学名誉教授会計学の専門家醍醐聡は、入居一時金の保護を徹底すべきだと指摘している[3]

なお、2011年通常国会で老人福祉法が改正され、有料老人ホームの「短期解約特例」が法制化された[4]。公布日は2011年6月22日、法律72号。

有料老人ホームの種別

介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護又は地域密着型特定施設入居者生活介護)

介護が必要となった場合、介護サービスは有料老人ホームのスタッフが提供。介護保険料はホームが代理受領する。介護サービススタッフを外部事業者に包括委託したものについては、「外部サービス利用型」となり、スタッフの雇用負担などが運営事業者にとって緩和されるが、運営事業者とサービススタッフが別会社であることによる意思疎通の問題がでる可能性がある。

2006年より、介護サービス情報の公表制度が導入され、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)の基本情報項目(自主申告の情報)、調査情報項目(調査員により客観的に確認された情報)がインターネット上で見ることが出来るようになっている。

住宅型有料老人ホーム

介護が必要となった場合、訪問介護等外部の在宅介護サービスを利用。要介護度が重度になった場合、特定施設入居者生活介護より介護保険費用がかかる。

健康型有料老人ホーム

介護が必要となった場合、契約を解除して退去の必要がある。需要がなく、数は少ない。

業界団体

有料老人ホームの業界団体として、社団法人全国有料老人ホーム協会[5] がある。全国有料老人ホーム協会は老人福祉法第三十条及び三十一条に規定された団体であり、業務指定の他、名称の使用制限が課せられている。「輝(かがやき)・友の会」への入会金・年会費は無料[6] 。『有料老人ホーム標準入居契約書及び標準管理規程』『特定施設入居者生活介護等標準利用契約書及び解説』などの図書もこの協会が出版している[7]。この協会は事業として、入居金保全のための入居者基金制度も行っている[8]

脚注

  1. ^ 2011年2月1日の朝日新聞朝刊17面
  2. ^ 2011年2月1日の朝日新聞朝刊17面
  3. ^ 2011年2月1日の朝日新聞朝刊17面
  4. ^ 社団法人全国有料老人ホーム協会編「輝(かがやき)ニュース」2011vol.92,社団法人全国有料老人ホーム協会,2011年9月1日,p.1-2
  5. ^ http://www.yurokyo.or.jp/
  6. ^ http://www.yurokyo.or.jp/info/03.html
  7. ^ http://www.yurokyo.or.jp/info/05.html
  8. ^ http://www.yurokyo.or.jp/info/01.html

参考文献

  • 金融財政事情研究会編『業種別審査事典 第11次 第8巻』「有料老人ホーム」の項,金融財政事情研究会,2008年,p.578-584
  • 中村寿美子『こんな介護で幸せですか?――知らなければ絶対に後悔する終(つい)の棲家(すみか)の選び方』小学館101新書,2009年
  • 中村寿美子『死ぬまで安心な有料老人ホームの選び方――子も親も「老活!」時代』講談社+α新書,2010年

関連項目