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[[Image:JCG MARTIS.png|thumb|250px|海上交通センターの配置]]
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'''海上交通センター'''(かいじょうこうつうせんたー)は、[[海上交通安全法]]や[[港則法]]で定められた多数の[[船舶]]が通航する航路・海域において、船舶交通の安全性及び効率性を向上させることを任務とし、海上保安庁が設置し運用している。
'''海上交通センター'''(かいじょうこうつうせんたー)は、[[海上交通安全法]]や[[港則法]]で定められた多数の[[船舶]]が通航する航路・海域において、船舶交通の安全性及び効率性を向上させることを任務とし、[[海上保安庁]]が設置し運用している。


以前、英語表記はTraffic Advisory Service Centerであったが、現在はVessel Traffic Advisory Service Centerとなっている。また、Marine Traffic Information Serviceの頭文字をとり「マーチス(MARTIS)」とも呼ばれるが、名古屋海上交通センターだけは〝マーチス〟とは呼ばない。
以前、英語表記はTraffic Advisory Service Centerであったが、現在はVessel Traffic Advisory Service Centerとなっている。また、Marine Traffic Information Serviceの頭文字をとり「マーチス(MARTIS)」とも呼ばれるが、名古屋海上交通センターだけは〝マーチス〟とは呼ばない。
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1977年(昭和52年)の東京湾海上交通センターから順次設置され、2003年(平成15年)7月以降7箇所の海上交通センターが設置・運用されている。
1977年(昭和52年)の東京湾海上交通センターから順次設置され、2003年(平成15年)7月以降7箇所の海上交通センターが設置・運用されている。

== 施設と業務 ==
== 施設と業務 ==
それぞれの所在地と業務を示す。
それぞれの所在地と業務を示す。
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=== 情報提供業務 ===
=== 情報提供業務 ===

==== ラジオ放送 ====
==== ラジオ放送 ====
各海上交通センターでは24時間[[ラジオ放送]]にて、大型船等の航路入航予定・気象・海象等の情報を、またセンターによっては漁船の操業状況、航路内の工事作業状況等についても放送を行っている。なお、船舶の衝突事故等緊急に通報する事項等が発生した場合は、随時臨時放送を行う<ref name=":0">{{Cite web |title=無線局運用規則第百四十条の規定による海上における航行援助情報を送信する無線局の運用に関す... |url=https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72ab1677.html |website=www.tele.soumu.go.jp |access-date=2023-11-16}}</ref>。[[電波法]]令上は[[特別業務の局]]による同報通信<ref>[[電波法施行規則]]第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。 (送り仮名の表記は原文ママ)</ref>であり、放送スケジュール等については、無線局運用規則第百四十条の規定により定められたスケジュールにて放送されている。<ref name=":0" />現在、各センターとも[[長野日本無線]]製の中短波帯送信装置 TWM-5A を使用し、[[電波型式の表記法|電波型式]]:H3E、定格[[空中線電力|出力]]10Wで送信されている<ref>{{Cite web |url=https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/nyusatsu/180904shiyou.pdf |title=名古屋船舶通航信号所ほか1箇所 無線機器換装工事 |access-date=2023-11-27 |publisher=海上保安庁 |page=9}}</ref>。放送に使われている音声は、合成音声によるものである。
各海上交通センターでは24時間[[ラジオ放送]]にて、大型船等の航路入航予定・気象・海象等の情報を、またセンターによっては漁船の操業状況、航路内の工事作業状況等についても放送を行っている。なお、船舶の衝突事故等緊急に通報する事項等が発生した場合は、随時臨時放送を行う<ref name=":0">{{Cite web |title=無線局運用規則第百四十条の規定による海上における航行援助情報を送信する無線局の運用に関す... |url=https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72ab1677.html |website=www.tele.soumu.go.jp |access-date=2023-11-16}}</ref>。
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現在、各センターとも[[長野日本無線]]製の中短波帯送信装置 TWM-5A を使用し、[[電波型式の表記法|電波型式]]:H3E、定格[[空中線電力|出力]]10Wで送信されている<ref>{{Cite web |url=https://www.kaiho.mlit.go.jp/04kanku/nyusatsu/180904shiyou.pdf |title=名古屋船舶通航信号所ほか1箇所 無線機器換装工事 |access-date=2023-11-27 |publisher=海上保安庁 |page=9}}</ref>。放送に使われている音声は、合成音声によるものである。


また、来島マーチス('''大浜潮流信号所''')・関門マーチス('''火ノ山下潮流信号所''')では、近年まで音声・[[モールス信号]]による[[潮流放送]]を実施していた。
また、来島マーチス('''大浜潮流信号所''')・関門マーチス('''火ノ山下潮流信号所''')では、近年まで音声・[[モールス信号]]による[[潮流放送]]を実施していた。
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注1:この周波数の搬送周波数は、1663.5kHzである。<br>注2:この周波数の搬送周波数は、2017.5kHzである。<br>注3:この周波数の搬送周波数は、1649.5kHzである。
注1:この周波数の搬送周波数は、1663.5kHzである。<br>注2:この周波数の搬送周波数は、2017.5kHzである。<br>注3:この周波数の搬送周波数は、1649.5kHzである。
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2024年5月2日 (木) 10:05時点における最新版

海上交通センターの配置

海上交通センター(かいじょうこうつうせんたー)は、海上交通安全法港則法で定められた多数の船舶が通航する航路・海域において、船舶交通の安全性及び効率性を向上させることを任務とし、海上保安庁が設置し運用している。

以前、英語表記はTraffic Advisory Service Centerであったが、現在はVessel Traffic Advisory Service Centerとなっている。また、Marine Traffic Information Serviceの頭文字をとり「マーチス(MARTIS)」とも呼ばれるが、名古屋海上交通センターだけは〝マーチス〟とは呼ばない。

レーダー、テレビカメラ、VHF無線機、気象観測装置、自動船舶識別装置(AIS)などを装備し、管制信号板や船舶無線などにより、通航船舶に対し航行管制を行う。また、情報信号板、FAX、インターネット、テレホンサービス、ラジオ放送による情報提供も実施している。

1977年(昭和52年)の東京湾海上交通センターから順次設置され、2003年(平成15年)7月以降7箇所の海上交通センターが設置・運用されている。

施設と業務

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それぞれの所在地と業務を示す。

東京湾海上交通センター(東京マーチス)
神奈川県横浜市中区所在。浦賀水道航路・中ノ瀬航路を中心に東京湾の航行情報提供および航行管制を行うとともに千葉・東京・横浜・川崎港の航行情報提供および港内管制を行う[1]
伊勢湾海上交通センター(伊勢湾マーチス)
愛知県田原市所在。伊勢湾口・伊良湖水道付近における航行情報提供および航行管制を行う。
名古屋港海上交通センター(名古屋ハーバーレーダー)
愛知県名古屋市港区所在。名古屋港の航行情報提供および港内管制を行う。
大阪湾海上交通センター(大阪マーチス)
兵庫県神戸市中央区ポートアイランドに所在。明石海峡の航行情報提供および航行管制を行う。2023年3月、同県淡路市より移転。
備讃瀬戸海上交通センター(備讃マーチス)
香川県綾歌郡宇多津町青ノ山に所在。備讃瀬戸航路・水島航路宇高航路を中心に備讃瀬戸の航行情報提供および航行管制を行う。
来島海峡海上交通センター(来島マーチス)
愛媛県今治市所在。来島海峡の航行情報提供および航行管制を行う。
関門海峡海上交通センター(関門マーチス)[2]
福岡県北九州市門司区所在。関門海峡の航行情報提供、航行管制および戸畑航路の出入港管制を行う。

航行管制

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東京湾・伊勢湾・瀬戸内海に定められている海上交通安全法指定航路の入出航を管理し、管制船舶の通航時刻調整等を行っている。

港内管制

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東京湾・名古屋港・関門海峡の各海上交通センターは、港則法に基づき入出港の管理を行う。

情報提供業務

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ラジオ放送

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各海上交通センターでは24時間ラジオ放送にて、大型船等の航路入航予定・気象・海象等の情報を、またセンターによっては漁船の操業状況、航路内の工事作業状況等についても放送を行っている。なお、船舶の衝突事故等緊急に通報する事項等が発生した場合は、随時臨時放送を行う[3]

電波法令上は特別業務の局による同報通信[4]であり、放送スケジュール等については、無線局運用規則第百四十条の規定により定められたスケジュールにて放送されている。[3]

現在、各センターとも長野日本無線製の中短波帯送信装置 TWM-5A を使用し、電波型式:H3E、定格出力10Wで送信されている[5]。放送に使われている音声は、合成音声によるものである。

また、来島マーチス(大浜潮流信号所)・関門マーチス(火ノ山下潮流信号所)では、近年まで音声・モールス信号による潮流放送を実施していた。

無線局名称 呼出名称 言語 周波数 送信時刻(中央標準時 受信確認証発行状況
観音埼 とうきょうマーチス 日本語 1665kHz (注1) 毎時00分及び30分から15分間 令和5年12月31日、発行終了。
英 語 2019kHz (注2) 毎時15分から15分間
伊良湖 いせわんマーチス 日本語 1665kHz (注1) 毎時15分及び45分から15分間
英 語 2019kHz (注2) 毎時00分及び30分から15分間
名古屋 なごやハーバーレーダー 日本語 1665kHz (注1) 毎時00分及び30分から15分間 令和7年7月1日発行終了予定
※英語放送も発行
英 語 2019kHz (注2) 毎時15分及び45分から15分間
江埼 おおさかマーチス 日本語 1651kHz (注3) 毎時15分及び45分から15分間
英 語 2019kHz (注2) 毎時00分及び30分から15分間
下津井 びさんマーチス 日本語 1651kHz (注3) 毎時00分及び30分から15分間
英 語 2019kHz (注2) 毎時15分及び45分から15分間
今治 くるしまマーチス 日本語 1651kHz (注3) 毎時15分及び45分から15分間
英 語 2019kHz (注2) 毎時00分及び30分から15分間
松原 かんもんマーチス 日本語 1651kHz (注3) 毎時00分及び30分から15分間
英 語 2019kHz (注2) 毎時15分及び45分から15分間

各海上交通センターによる、ラジオ放送 受信に対す受信確認証は各局発行していますが、各局HP上で受信報告書の宛先等に関する情報は特定の局以外は公開していません。[6]

注1:この周波数の搬送周波数は、1663.5kHzである。
注2:この周波数の搬送周波数は、2017.5kHzである。
注3:この周波数の搬送周波数は、1649.5kHzである。

脚注

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  1. ^ 東京湾内の各港内交通管制室の名称変更について
  2. ^ つるやももこ「海峡の仕事人。」『雲のうえ』第25号、北九州市にぎわいづくり懇話会、2016年、8-17頁。 
  3. ^ a b 無線局運用規則第百四十条の規定による海上における航行援助情報を送信する無線局の運用に関す...”. www.tele.soumu.go.jp. 2023年11月16日閲覧。
  4. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。 (送り仮名の表記は原文ママ)
  5. ^ 名古屋船舶通航信号所ほか1箇所 無線機器換装工事”. 海上保安庁. p. 9. 2023年11月27日閲覧。
  6. ^ 伊勢湾海上交通センター”. www6.kaiho.mlit.go.jp. 2024年1月10日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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