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「鶴岡市立加茂水族館」の版間の差分

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2014年12月11日 (木) 05:55時点における版

鶴岡市立加茂水族館
施設情報
前身 山形県水族館
専門分野 クラゲ
事業主体 鶴岡市
管理運営 鶴岡市開発公社(指定管理者
館長 村上龍男[1]
開館 1930年昭和5年)
所在地 997-1206
山形県鶴岡市今泉字大久保656番地
位置 北緯38度45分44.0秒 東経139度43分29.9秒 / 北緯38.762222度 東経139.724972度 / 38.762222; 139.724972
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みずくらげ(2005年(平成17年)8月6日撮影)

鶴岡市立加茂水族館(つるおかしりつ かもすいぞくかん)は、山形県鶴岡市にある市立の水族館である。同館は加茂港付近の日本海に面した断崖絶壁に建っている。クラゲ展示種類数世界一(35種類以上の常時展示)を誇るほか、ウミネコの餌付けショーも行っている。

概要

1930年昭和5年)に地元有志により設立された「山形県水族館」を前身とする、山形県内では唯一の水族館。「鶴岡市クラゲ研究所」が併設されている。

レジャーの多様化や築約40年と老朽化が進む建物の影響などにより、近年は入館者数も激減し閉館の危機に直面したが、1999年平成11年)頃から本格的にクラゲの展示を始めたところ好評となり、入館者数も増加に転じた[2]。その後飼育数、展示数を増やして「クラネタリウム」として専用展示室化した後の2005年(平成17年)に展示数世界一となった。

ケサランパサランが展示されている[注釈 1]2008年(平成20年)5月、日本動物園水族館協会より古賀賞受賞。

2014年6月1日、改築オープンした[3]

沿革

  • 1930年昭和5年) - 地元有志の水族館組合により「山形県水族館」が設立される。
  • 1944年(昭和19年) - 山形県へ譲渡され、「海洋道場」となる。
  • 1946年(昭和21年) - 山形県立加茂水産高等学校の仮校舎となる。
  • 1953年(昭和28年) - 県から加茂町に無償譲渡。
  • 1955年(昭和30年)7月29日 - 加茂町を含む西田川郡4町村が鶴岡市編入合併される。
  • 1956年(昭和31年) - 「鶴岡市立加茂水族館」として再開館。
  • 1964年(昭和39年)4月18日 - 現在地に移転新築。
  • 1967年(昭和42年) - 株式会社庄内観光公社に売却。
  • 1968年(昭和43年)3月31日 - 年度入館者数が過去最高の「21万7372人」となる。昭和50年代以降は低迷し、平成に入ってからは年間10万人程度で推移する。
  • 1997年平成9年) - サンゴの水槽で偶然クラゲが発生し、クラゲ展示が始まる。当年度の入館者数が過去最低の9万人となる。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月 - クラゲ展示室を設置し、クラゲ展示種類数日本一となる(12種)。
    • 5月 - クラゲ展示室の名称を募集し、「クラネタリウム」と命名。命名者は、鶴岡市立黄金小学校2年生の児童。
  • 2002年(平成14年)
    • 4月1日 - 庄内観光公社から市が買い戻し、市営となる。
    • 9月 第1回クラゲサミット開催。
  • 2005年(平成17年)3月 - クラゲ展示室リニューアル。アメリカ合衆国・モントレー水族館(17種)を抜き、クラゲ展示種類数世界一となる(21種)。
  • 2006年(平成18年) - 鶴岡市開発公社が指定管理者となる。
  • 2007年(平成19年)9月 - 第2回クラゲサミット開催。
  • 2008年(平成20年)5月14日 - 日本動物園水族館協会より第22回「古賀賞」を受賞。
  • 2010年(平成22年)
  • 2012年(平成24年)4月7日 - クラゲの展示種類数でギネス認定された。刺す種類のみをクラゲとするルールで30種であった[4]
  • 2013年(平成25年)3月30日 - 当年度の入館者数が27万人となる[5]
  • 2014年(平成26年)6月1日 - 改築オープン。下村脩が名誉館長に就任する[6]

新水族館建設

2014年平成26年)6月1日、水族館が改築オープンした。クラネタリウムは、かつての4倍規模になる。旧水族館本体の広さは1870平方メートルだが、新水族館は3000平方メートルとなった。他にショーゾーンも1600平方メートル設け、合計4600平方メートルとなる。また、改築費用は住民参加型の公募債である「加茂水族館クラゲドリーム債」を2度にわたって発行し、約30億円の改築費の一部に充当した[7][8][9]。 

主な施設

  • クラネタリウム - 常時30種類以上のクラゲを展示し、その飼育、展示の種類ともに世界一数を誇る。
  • アザラシペンギンプール
  • ラッコプール
  • ウミネコ餌付けコーナー
  • アシカショーコーナー
  • 磯コーナー - 磯に住む生き物を展示、来館者は自由に触れて楽しむことができる。
  • 売店 & クラゲレストラン(一般メニュー有)

オワンクラゲと下村脩

下村脩が2008年(平成20年)ノーベル化学賞を受賞すると、その受賞理由となった緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein; GFP)がオワンクラゲ由来であることも報道された。このことでオワンクラゲを飼育している同館が注目され、同館の入館者数が通常の1.5~2倍にまで増加した[10]。同館で飼育されているオワンクラゲは、自然界から採取した成体は発光するものの、人工繁殖で世代交代させると発光しなくなっていた。そのことを聞いた下村が2008年(平成20年)10月24日に直接同館に電話をし、「セレンテラジンを餌に混ぜれば、2週間で光る」とアドバイスをした。そして、下村の紹介で、三重大学大学院生物資源学研究科の教授・寺西克倫からセレンテラジンを譲り受け、発光実験に取り組んだ。

2008年(平成20年)10月、アメリカ合衆国の音楽学校生の下川和己がピアノ曲「Dance of the Aequorea」(オワンクラゲのダンス)を作曲して下村に献曲したところ、2009年(平成21年)6月12日に当館のBGMとして推挙した[11]。これを機に、当館に下村のパネルコーナーが設置され、同曲のBGM使用も開始された[11]

2010年(平成22年)4月2日には下村が初めて来館し、一日名誉館長を務めた。その後2011年(平成23年)3月に同館では来館した際の写真やオワンクラゲを用いた切手シートを発行、30枚を下村に送った[12]。翌4月にこのうちの15枚が加茂水族館に下村のサインが書かれて送られてきた。同年3月11日東日本大震災東北地方太平洋沖地震)で大きな被害を受けたマリンピア松島水族館にその一部とミズカサクラゲ、ハナガサクラゲが贈られた[13]

ハッポウヤワラクラゲ

2012年(平成24年)9月22日 - 28日に採取したクラゲ数頭が、北半球で初採取の軟クラゲ目ヤワラクラゲ科の「オリエンタス」(Meliceritissa orientalis)と判明し、2012年(平成24年)暮れに学会発表され、奥泉和也副館長が「ハッポウヤワラクラゲ」と命名した[14][15]。和名の由来を副館長は「放射管が中央から8本伸びていることから、末広がりの「八」とかけて」と述べた。大きさは1cm程度。

交通

周辺

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ 鳥類の捕食したペレットであろうという、正体に関する推測も併記されているケサランパサラン#正体も参照

出典

  1. ^ 館長の公式ブログ 2013年平成25年)1月17日閲覧
  2. ^ “全力で「バカ」をやれば道が開ける、世界一のクラゲ水族館に学ぶ大逆転の秘策”. JB Press. (2013年2月13日). http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37089 2013年12月30日閲覧。 
  3. ^ “クラゲ世界一の水族館にぎわう 山形・鶴岡に改築オープン”. 共同通信. (2014年6月1日). http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014060101001562.html 2014年6月6日閲覧。 
  4. ^ 加茂水族館、クラゲの展示種類数でギネス認定 2012年(平成24年)4月7日21:41 山形新聞 2013年(平成25年)2月26日閲覧(2012年4月8日時点のアーカイブ
  5. ^ “クラゲ引き寄せ27万人に、加茂水族館入館者”. 山形新聞. (2013年3月30日). http://www.47news.jp/CI/201303/CI-20130330-00760.html 2013年9月14日閲覧。 
  6. ^ “名誉館長に就任する下村博士のレリーフ披露 加茂水族館”. 山形新聞. (2014年5月16日). http://yamagata-np.jp/news/201405/16/kj_2014051600309.php 2014年11月26日閲覧。 
  7. ^ “改築費調達へ「クラゲ債」発行 山形・加茂水族館”. 日本経済新聞. (2013年4月6日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0600X_W3A400C1CR0000/ 2013年9月14日閲覧。 
  8. ^ “鶴岡の「クラゲ債」20分で完売 水族館改築に弾み”. 共同通信. (2013年4月18日). http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013041801001568.html 2013年9月14日閲覧。 
  9. ^ “加茂水族館公募債、購入手続き始まる 第2弾、クラゲの館に夢託す”. 山形新聞. (2014年4月3日). http://yamagata-np.jp/news/201404/03/kj_2014040300049.php 2014年5月24日閲覧。 
  10. ^ ノーベル賞の下村です 鶴岡・加茂水族館に電話”. 河北新報 (2008年10月26日). 2008年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月26日閲覧。
  11. ^ a b BGMに乗り館長解説 加茂水族館 下村さんとの交流パネル展”. 荘内日報 (2009年7月15日). 2009年12月9日閲覧。
  12. ^ ノーベル賞の下村さん、お礼と激励メール 加茂水族館”. 朝日新聞 (2011年4月13日). 2012年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月23日閲覧。
  13. ^ 加茂水族館から松島へ、クラゲ届ける 震災影響で飼育数減少”. 山形新聞 (2011年4月21日). 2011年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月23日閲覧。
  14. ^ 北半球に記録ないクラゲ採取・加茂水族館 命名「ハッポウヤワラクラゲ」 2013年(平成25年)2月16日9:34 山形新聞 2013年(平成25年)2月26日閲覧
  15. ^ 南半球のクラゲ、日本で初確認 山形の水族館前で採取 2013年(平成25年)2月19日0:49 朝日新聞デジタル 2013年(平成25年)2月26日閲覧

関連項目

外部リンク