「芋俵」の版間の差分
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'''芋俵'''(いもだわら)は、[[落語]]の演目名。[[柳家小さん (4代目)|四代目]]、[[柳家小さん (5代目)|五代目柳家小さん]]が得意とした。[[狂言]]の「[[柑子俵]]」、[[安永]]2年([[1776年]])刊の噺本「聞上手」の「いもや」が原作とされる。[[上方落語]]では「芋屁」。 |
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二人の盗賊が、とある大店に盗みに入る相談をしていた。 |
二人の盗賊が、とある大店に盗みに入る相談をしていた。 |
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「どうだい、ここは芋俵を使ってやろうじゃねえか。」「どうすんだ。」「なあに、芋を入れるんじゃねえ。芋の代わりに人を入れて、その店へかついでいくんだ。」「ほう。」「で、何か忘れ物でもしたとか言って『少々、ご面倒様ですが、この芋俵預かっちゃあくれませんか。後で取りに参りますんで。』とかいうんだよ。」「それで」「そうして、わざと芋俵を家に置いておく。夜になってもまさか外に置いとくわけにもいかねえ。家ン中にしまう。で、みんなが寝入った頃を見はらかって、俵から出てきた奴が閂をはずして、おいらが入るって寸法さ。どうでえ。」「・・・なるほど |
「どうだい、ここは芋俵を使ってやろうじゃねえか。」「どうすんだ。」「なあに、芋を入れるんじゃねえ。芋の代わりに人を入れて、その店へかついでいくんだ。」「ほう。」「で、何か忘れ物でもしたとか言って『少々、ご面倒様ですが、この芋俵預かっちゃあくれませんか。後で取りに参りますんで。』とかいうんだよ。」「それで」「そうして、わざと芋俵を家に置いておく。夜になってもまさか外に置いとくわけにもいかねえ。家ン中にしまう。で、みんなが寝入った頃を見はらかって、俵から出てきた奴が[[閂 (錠)|閂]]をはずして、おいらが入るって寸法さ。どうでえ。」「・・・なるほどオ。こいつあうめえこと考えやがったなあ。・・・だが、それじゃあ、俵に入るのがいるなあ。」「そうさなあ。・・」 |
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そこで、二人は[[与太郎]]を仲間に引き入れ、俵の中に入れてしまう。計画通りに俵を家の中に入れたまではよかったが、あろうまいことか、店の小僧が、俵を逆さまに置いてしまう。与太郎「・・・あれ。こまったなあ。上得逆さまだあ。動けねえ。おいおい。何とかしてくれ。」とこぼしている内、とうとう夜が来て店がしまう。そこへさっきの小僧と下女が「晩飯食べそこねてて腹がすいちゃったねえ。」「あ、昼間預かっていた芋俵がある。」「そうだ。一つや二つ食べたってかまやしねえだろう。」と、俵の中に手を入れてきた。「何だか生温かいねえ。焼き芋かもしれねえ。」「ちょいと、何だか柔らかいよ。腐ってるんじゃないだろうねえ。」 |
そこで、二人は[[与太郎]]を仲間に引き入れ、俵の中に入れてしまう。計画通りに俵を家の中に入れたまではよかったが、あろうまいことか、店の小僧が、俵を逆さまに置いてしまう。与太郎「・・・あれ。こまったなあ。上得逆さまだあ。動けねえ。おいおい。何とかしてくれ。」とこぼしている内、とうとう夜が来て店がしまう。そこへさっきの小僧と下女が「晩飯食べそこねてて腹がすいちゃったねえ。」「あ、昼間預かっていた芋俵がある。」「そうだ。一つや二つ食べたってかまやしねえだろう。」と、俵の中に手を入れてきた。「何だか生温かいねえ。焼き芋かもしれねえ。」「ちょいと、何だか柔らかいよ。腐ってるんじゃないだろうねえ。」 |
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手軽な長さと単純なストーリーで、笑いも多く取れるので寄席でよく演じられる。四代目小さんが[[人形町末 |
手軽な長さと単純なストーリーで、笑いも多く取れるので寄席でよく演じられる。四代目小さんが[[人形町末廣]]で演じた時は、淡々とした語り口で、客があまりうけないままサゲになってしまったが、小さんが高座を退いた後、果たして客席からじわりと笑いがおこりだし、しまいにはみんな笑い出して次の演者が高座に上がれなくなり、居合わせた弟子の五代目小さんは「こうやってあとから笑いをとるのが、真の落語なんだ。」と感心した。 |
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== 参考文献 == |
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川戸貞吉編 |
川戸貞吉編『落語大百科1』 冬青社、2001年 ISBN 4-924725-70-6 |
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==関連項目== |
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{{古典落語の演目}} |
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{{落語の演目 (主人公別)}} |
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{{落語の演目 (舞台別)}} |
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{{デフォルトソート:いもたわら}} |
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[[Category:落語の演目]] |
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[[Category:野菜を題材とした作品]] |
2020年12月2日 (水) 11:13時点における最新版
芋俵(いもだわら)は、落語の演目名。四代目、五代目柳家小さんが得意とした。狂言の「柑子俵」、安永2年(1776年)刊の噺本「聞上手」の「いもや」が原作とされる。上方落語では「芋屁」。
あらすじ
[編集]二人の盗賊が、とある大店に盗みに入る相談をしていた。
「どうだい、ここは芋俵を使ってやろうじゃねえか。」「どうすんだ。」「なあに、芋を入れるんじゃねえ。芋の代わりに人を入れて、その店へかついでいくんだ。」「ほう。」「で、何か忘れ物でもしたとか言って『少々、ご面倒様ですが、この芋俵預かっちゃあくれませんか。後で取りに参りますんで。』とかいうんだよ。」「それで」「そうして、わざと芋俵を家に置いておく。夜になってもまさか外に置いとくわけにもいかねえ。家ン中にしまう。で、みんなが寝入った頃を見はらかって、俵から出てきた奴が閂をはずして、おいらが入るって寸法さ。どうでえ。」「・・・なるほどオ。こいつあうめえこと考えやがったなあ。・・・だが、それじゃあ、俵に入るのがいるなあ。」「そうさなあ。・・」
そこで、二人は与太郎を仲間に引き入れ、俵の中に入れてしまう。計画通りに俵を家の中に入れたまではよかったが、あろうまいことか、店の小僧が、俵を逆さまに置いてしまう。与太郎「・・・あれ。こまったなあ。上得逆さまだあ。動けねえ。おいおい。何とかしてくれ。」とこぼしている内、とうとう夜が来て店がしまう。そこへさっきの小僧と下女が「晩飯食べそこねてて腹がすいちゃったねえ。」「あ、昼間預かっていた芋俵がある。」「そうだ。一つや二つ食べたってかまやしねえだろう。」と、俵の中に手を入れてきた。「何だか生温かいねえ。焼き芋かもしれねえ。」「ちょいと、何だか柔らかいよ。腐ってるんじゃないだろうねえ。」
たまらないのは与太郎で。
「おい。そう、お尻を撫ぜ廻さないでおくれ・・・あ、手が股ぐらに入ってきやがった、あはは、くすぐったくていけねえ・・・・」
と我慢しようと力んだはずみに放屁。
「ああ、気の早いお芋だ。」
概略
[編集]手軽な長さと単純なストーリーで、笑いも多く取れるので寄席でよく演じられる。四代目小さんが人形町末廣で演じた時は、淡々とした語り口で、客があまりうけないままサゲになってしまったが、小さんが高座を退いた後、果たして客席からじわりと笑いがおこりだし、しまいにはみんな笑い出して次の演者が高座に上がれなくなり、居合わせた弟子の五代目小さんは「こうやってあとから笑いをとるのが、真の落語なんだ。」と感心した。
参考文献
[編集]川戸貞吉編『落語大百科1』 冬青社、2001年 ISBN 4-924725-70-6