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「パッションフルーツ」の版間の差分

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また、[[台湾]]など[[東南アジア]]圏でも栽培されている。
また、[[台湾]]など[[東南アジア]]圏でも栽培されている。


日本では、古くは奄美を中心とした南西諸島や東京の島嶼部、近年では[[鹿児島県]]、[[沖縄県]]を中心に栽培されている(栽培面積・生産高ともに[[鹿児島県]]が日本一)が、[[熊本県]]、[[岐阜県]]、[[栃木県]]、[[福島県]]など各地でハウス栽培が盛んになっている。特に岐阜県は、本州の積雪地帯でありながら、露地栽培に成功。民間有志が夏一作型の栽培方法を確立し、2010年は関市だけで2haを超える作付が見込まれている。うち1ヶ所は団地化し、露地栽培としては全国有数規模のパッションフルーツ農園(1ha余)が誕生する。
日本では、古くは奄美を中心とした南西諸島や東京の島嶼部、近年では[[鹿児島県]]、[[沖縄県]]を中心に栽培されている(栽培面積・生産高ともに[[鹿児島県]]が日本一)が、[[熊本県]]、[[岐阜県]]、[[栃木県]]、[[福島県]]など各地で栽培が盛んになっている。これら栽培はほとんどがハウスなど施設を利用したものだが、岐阜県は、本州の積雪地帯でありながら、露地栽培に成功。民間有志が夏一作型の栽培方法を確立し、2010年は関市だけで2haを超える作付が見込まれている。うち1ヶ所は団地化し、露地栽培としては全国有数規模のパッションフルーツ農園(1ha余)が誕生する。

国内の栽培は概ね紫玉、黄玉、中間交配種の3つに分かれ、生食用では甘みの強い紫玉の需要が多い。黄玉は性質強健で果汁の多い物が多く、世界的に加工用原料としての栽培が多い。
国内の栽培は概ね紫玉、黄玉、中間交配種の3つに分かれ、生食用では甘みの強い紫玉の需要が多い。黄玉は性質強健で果汁の多い物が多く、世界的に加工用原料としての栽培が多い。


日当たりと水やりさえ欠かさなければよく育ち、比較的栽培容易な植物なので、家庭菜園にも向いている。日本では、暖地を除けば、冬は室内入れるなどの越冬対策は必要である。
日当たりと水やりさえ欠かさなければよく育ち、加えてサルやイノシシの被害も受けず、害虫の防除の手間も不要。比較的栽培容易な植物なので、中山間地農業や家庭菜園にも向いている。生育は一定温度が必要で、越冬最低でも4℃以上の温度が必要である。亜熱帯植物のわりに高温を嫌い、30℃以上の気温が続くと、高温障害を起こし、花芽や未熟果を落下させることがある。

収穫は通常完熟して自然落下したものを回収する(もしくは軽く触れると落下する程度)。
開花・受粉から14日で玉伸びを終え、その後45日で完熟、自然落下する。収穫は自然落下したものを回収する(もしくは軽く触れると落下する程度)。
その蔓の一番花は、人工授粉で、確実に受粉を行うのが栽培の要諦であり、開花を誘導する技術、多収量の元苗の作りなどにノウハウがある。


==食利用==
==食利用==

2010年1月1日 (金) 03:09時点における版

クダモノトケイソウ
パッションフルーツの果実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: スミレ目 Violales
: トケイソウ科 Passifloraceae
: トケイソウ属 Passiflora
: クダモノトケイソウ edulis
学名
Passiflora edulis Sims
英名
Passion fruit

パッションフルーツ(和名:クダモノトケイソウ(果物時計草))は、アメリカ大陸の亜熱帯地域を原産とするトケイソウ科果物である。

名称

和名は時計のように見える特徴のある花のトケイソウの仲間で、果物を実らせるである事に由来する。花の雌蘂が張り付けの十字架に、5本の雄蘂が打たれた釘に、花を取り巻く副花冠がイバラの冠に、10枚の花弁及び萼が一人消えた師弟に例えられ、Passion fruit(キリストの受難の果実)の英語名が付けられた。本場ブラジルではMaracujá(マラクジャ)と呼ぶ。中国語名は英語名の音に当てた百香果(パイシャングォ、拼音: Bǎixiānggǔo注音: ㄅㄞˇ ㄒㄧㄤ ㄍㄨㄛˇ)。

植物学上の特徴と分布

500種類以上もあるトケイソウ科の仲間で、南米を中心に分布している。 熟したパッションフルーツは球状又は卵形で、堅い表皮は滑らかで黄色か濃紫色、赤色など、内部にはスイカの種ほどの大きさの種を多く含み、黄色いゼリー状の果肉と果汁がある。 果汁及び果肉は強い香気をもつものが多い。

栽培

現在では、実を食用とする数十種の中から選抜され品種改良された種が、世界の熱帯から亜熱帯地域の広範囲で栽培されている。ブラジルが最大の生産国で、その周囲の中南米での栽培が主流になっている。近年、ミャンマー北部のゴールデントライアングルでケシアヘン)の代替作物として栽培が増えており、ヨーロッパ市場へ進出している。 また、台湾など東南アジア圏でも栽培されている。

日本では、古くは奄美を中心とした南西諸島や東京の島嶼部、近年では鹿児島県沖縄県を中心に栽培されている(栽培面積・生産高ともに鹿児島県が日本一)が、熊本県岐阜県栃木県福島県など各地で栽培が盛んになっている。これら栽培はほとんどがハウスなど施設を利用したものだが、岐阜県は、本州の積雪地帯でありながら、露地栽培に成功。民間有志が夏一作型の栽培方法を確立し、2010年は関市だけで2haを超える作付が見込まれている。うち1ヶ所は団地化し、露地栽培としては全国有数規模のパッションフルーツ農園(1ha余)が誕生する。

国内の栽培は概ね紫玉、黄玉、中間交配種の3つに分かれ、生食用では甘みの強い紫玉の需要が多い。黄玉は性質強健で果汁の多い物が多く、世界的に加工用原料としての栽培が多い。

日当たりと水やりさえ欠かさなければよく育ち、加えてサルやイノシシの被害も受けず、害虫の防除の手間も不要。比較的栽培が容易な植物なので、中山間地農業や家庭菜園にも向いている。生育には一定の温度が必要で、越冬には最低でも4℃以上の温度が必要である。亜熱帯植物のわりに高温を嫌い、30℃以上の気温が続くと、高温障害を起こし、花芽や未熟果を落下させることがある。

開花・受粉から14日で玉伸びを終え、その後45日で完熟、自然落下する。収穫は自然落下したものを回収する(もしくは軽く触れると落下する程度)。 その蔓の一番花は、人工授粉で、確実に受粉を行うのが栽培の要諦であり、開花を誘導する技術、多収量の元苗の作りなどにノウハウがある。

食利用

そのままスプーンですくって種ごと食べることが多い。追熟(皮の表面が皺になる程度)すると甘みが増す。 東南アジアなどでは、多くはそのまま果肉をスプーンを使い、掻き出して食べる。現地ではは噛まずに喉ごしを楽しむ人々も多い。

国内では、生食以外、希釈用のジュースジャムとして特に南西諸島での人気が高い。 世界の生産量9割が加工品として利用されており、香料ジュースなどとして流通している。主に他のジュースの香り付けやケーキゼリーなどの洋菓子類、カクテルベース等需要が急増中である。

最近は、認知症予防や歯周病予防、ダイエットに効果が期待される有用成分が注目を集めており、利用拡大が見込まれている。

食のほか、岐阜県関市の平成カード会は旧武儀地域の事業所、商店などの壁面緑化に取り組み、毎年、50数軒がパッションフルーツで壁面緑化している。

ギャラリー

パッションフルーツが登場する事柄など

外部リンク