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「トレンディドラマ」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
[[都会]]に生きる男女(いわゆる[[ヤッピー]])の[[恋愛]]や'''[[トレンド]]'''を描いた現代ドラマ(ゆえに「トレンディ――」)。
[[都会]]に生きる男女([[ヤッピー]])の[[恋愛]]や'''[[トレンド]]'''を描いた現代ドラマ(ゆえに「トレンディ――」)。配役はドラマ製作の時点で、演技や芸能活動が活発であり、美男美女、もしくは目立った個性が視聴者に高い好感を持たれている[[俳優]]・[[歌手]]・[[タレント]]が起用されることが多い。女優では[[浅野温子]]、[[浅野ゆう子]]の「'''W(ダブル)浅野'''」や、[[中山美穂]]、[[鈴木保奈美]]、[[安田成美]]、[[山口智子]]、男優では[[三上博史]]、[[柳葉敏郎]]、[[陣内孝則]]、[[石田純一]]、[[江口洋介]]、[[織田裕二]]、[[吉田栄作]]、[[加勢大周]](織田、吉田、加勢の3人は「'''トレンディ御三家'''」と呼ばれていた。)などが特に活躍した。脚本家においては[[坂元裕二]]、[[野島伸司]]、[[北川悦吏子]]などが頭角を現し、演出家では[[山田良明]]、[[大多亮]]、[[永山耕三]]といった顔ぶれが活躍した。


現在ではトレンディドラマという用語自体はほとんど死語と化し、年月の経過と共に「トレンディ」と見られる価値観そのものも大きく変化しているが、トレンディドラマ同様の特徴を持つドラマは今もなお多数製作・放映され続けている。
現在ではトレンディドラマという用語自体はほとんど死語と化し、年月の経過と共に「トレンディ」と見られる価値観そのものも大きく変化しているが、トレンディドラマ同様の特徴を持つドラマは今もなお多数製作・放映され続けている。

== 傾向 ==
=== 配役 ===
配役はドラマ製作の時点で、演技や芸能活動が活発であり、美男美女、もしくは目立った個性が視聴者に高い好感を持たれている[[俳優]]・[[歌手]]・[[タレント]]が起用されることが多い。女優では[[浅野温子]]、[[浅野ゆう子]]の「'''W(ダブル)浅野'''」や、[[中山美穂]]、[[鈴木保奈美]]、[[安田成美]]、[[山口智子]]、男優では[[三上博史]]、[[柳葉敏郎]]、[[陣内孝則]]、[[石田純一]]、[[江口洋介]]、[[織田裕二]]、[[吉田栄作]]、[[加勢大周]](織田、吉田、加勢の3人は「'''トレンディ御三家'''」と呼ばれていた。)などが特に活躍した。脚本家においては[[坂元裕二]]、[[野島伸司]]、[[北川悦吏子]]などが頭角を現し、演出家では[[山田良明]]、[[大多亮]]、[[永山耕三]]といった顔ぶれが活躍した。


=== ターゲット層 ===
=== ターゲット層 ===
視聴者は[[主婦]]、[[OL]]層、社会人層をターゲットとした娯楽作品である。当時の「F1層」(20歳から35歳であった[[新人類]]世代の女性)がターゲットである。基本的に、バブル景気時代の女性の生き方に主軸を置いた作品群であり、恋愛主体の[[少女漫画]]の王道に準じた点もある。
基本的に、バブル景気時代の女性の生き方に主軸を置いた作品群であり、恋愛主体の[[少女漫画]]の王道に準じた点もある。一時期、トレンディドラマ全盛の時期には主に男性から批判されることも多く、当時のドラマが極端にトレンディドラマへ偏っていた点は否めない。ただし、従来の多くのドラマが男性の願望主体に傾倒していた(バブル以前のメディアでは、このことは当然であったため、男性にはその自覚はない)のであり、テレビ番組に女性の視点が強く反映されるようになった過渡期に現れたため目立っただけだ、という意見もある。[[ゴールデンタイム]]に放送し、視聴者は最も[[視聴率]]の取れる[[主婦]]、[[OL]]層、社会人層をターゲットとした娯楽作品である。当時の「F1層」(20歳から35歳であった[[新人類]]世代の女性)がターゲットで、低年齢者や高齢層はあまり対象とされていない。


=== 登場人物 ===
=== 登場人物 ===
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使われる音楽は、[[電子楽器]]を多用したもの、若しくは[[リズム体]]が強調された[[ポピュラー音楽|ポップス]]が多い。
使われる音楽は、[[電子楽器]]を多用したもの、若しくは[[リズム体]]が強調された[[ポピュラー音楽|ポップス]]が多い。

トレンディドラマは[[戦後民主主義]]の到達点というべき自由と繁栄の確認であったが、[[バブル崩壊]]以降は現実とかけ離れたものとして遊離していった<ref name="gendai20161116p2">{{Cite news |title=フジ「月9」はなぜ瀕死状態になったのか? ついに打ち切り話まで… その栄枯盛衰をたどる |newspaper=[[週刊現代|現代ビジネス]] |publisher=[[講談社]] |date=2016-11-16 |author=[[中川右介]] |url=https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50204?page=3 |page=3 |accessdate=2023-01-21}}</ref>。


== 歴史 ==
== 歴史 ==

2023年1月21日 (土) 14:36時点における版

トレンディドラマ (trendy drama) は、主に1980年代後半から1990年代前半即ち昭和から平成にかけてのバブル景気の前後に制作された日本テレビドラマの一部を指して使われる言葉であるが、和製英語であり、明確な定義は存在しない。

概要

都会に生きる男女(いわゆるヤッピー)の恋愛トレンドを描いた現代ドラマ(ゆえに「トレンディ――」)。

現在ではトレンディドラマという用語自体はほとんど死語と化し、年月の経過と共に「トレンディ」と見られる価値観そのものも大きく変化しているが、トレンディドラマ同様の特徴を持つドラマは今もなお多数製作・放映され続けている。

傾向

配役

配役はドラマ製作の時点で、演技や芸能活動が活発であり、美男美女、もしくは目立った個性が視聴者に高い好感を持たれている俳優歌手タレントが起用されることが多い。女優では浅野温子浅野ゆう子の「W(ダブル)浅野」や、中山美穂鈴木保奈美安田成美山口智子、男優では三上博史柳葉敏郎陣内孝則石田純一江口洋介織田裕二吉田栄作加勢大周(織田、吉田、加勢の3人は「トレンディ御三家」と呼ばれていた。)などが特に活躍した。脚本家においては坂元裕二野島伸司北川悦吏子などが頭角を現し、演出家では山田良明大多亮永山耕三といった顔ぶれが活躍した。

ターゲット層

視聴者は主婦OL層、社会人層をターゲットとした娯楽作品である。当時の「F1層」(20歳から35歳であった新人類世代の女性)がターゲットである。基本的に、バブル景気時代の女性の生き方に主軸を置いた作品群であり、恋愛主体の少女漫画の王道に準じた点もある。

登場人物

放送当時の旬な男優や女優が出演。主な登場人物は美男美女ばかりである(ただし、三枚目の役としての布施博のような例外がある)。人物達の職業は流行の最先端。企業であれば広告代理店テレビ局などのマスメディアや宣伝、企画部門。フリーランスであればデザイナーなどのいわゆる“カタカナ職業”。ただしいずれも仕事そのものがテーマになることはなく、仕事中の描写も少ない。総じて、「手が届きそうで届かないぐらいの程良く洗練されたライフスタイル」を送っている[1]

主人公(または女性主人公の相手役)は、美男の上「優しい奴」で、周りの仲間に信頼されている。時にその優しさが揉めごとに発展する場合がある。ヒロイン(女性主人公)は「等身大の女性像」として積極的な性格に描かれ、がさつだったり、わがままだったり、おてんばであったりするが、あっけらかんとした明るい性格で、視聴者に親近感をもたせた描きかたをされる。主人公以外の脇役は、残り物同士で付き合ったり、主人公とヒロインのごたごたをやや離れたところから、援護射撃したり、見守ったりしている。

場所・製品

その当時の話題のスポット、ファッション、アイテム、ライフスタイルがドラマに反映されている。

主人公は主に眺望のいい高級マンションの、生活感に乏しい(雑誌に採り上げられるような)美しいインテリアの部屋に住む。主人公たちが待ち合わせや出会いに使う場所は「カフェバー」が多い。

カバンや待ち合わせなどで使う場所(デパートなど)の名前を堂々と映し、主人公たちは企業の「広告塔」になっていた。なお、これらに登場する製品、場所の多くが、広告代理店が仕込んだアパレル自動車会社、飲料会社やレストランとのタイアップで成り立っていた。

設定・その他

様々な人間関係の中で恋愛模様を構成するストーリーである。物語はあくまでお洒落で、軽いタッチで描かれ、表面上は決してドロドロしないことが多い。

主人公は、お洒落な夜景の見える場所で「好きだ」と告白する。ビールよりもワインシャンパンで盛り上がる。記念日クリスマスや誕生日など)を大切にする。

通勤路線は東急田園都市線京王線など、都心から南西方面にのびる路線に設定される傾向にある。

使われる音楽は、電子楽器を多用したもの、若しくはリズム体が強調されたポップスが多い。

トレンディドラマは戦後民主主義の到達点というべき自由と繁栄の確認であったが、バブル崩壊以降は現実とかけ離れたものとして遊離していった[2]

歴史

1980年代

1990年代

浅野温子と浅野ゆう子は、上記のように度々起用され、“W浅野”の別名で呼ばれるようになった。

主題歌

人気作品の主題歌は放送時に繰り返しオンエアされ(タイアップ)、視聴者の心に刻まれ大ヒットする場合が多い。特にアイドル音楽番組が低迷した1990年代以降、日本国内ではヒット曲の多くをドラマ主題歌が占め、シングル売上が200万枚に迫ったり、それを突破する楽曲が相次いだ。また各ドラマの最終回のサブタイトルに主題歌の題名がそのまま使われることも多い。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク