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「や行い」の版間の差分

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{{仮名}}
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'''や行い'''(やぎょうい、[[ファイル:Ya-2.jpg|16px]]'''、'''[[ファイル:ya-yihira.JPG|16px]])は、[[仮名 (文字)|仮名]]のひとつである。[[五十音図]]において第8行第2段([[や行]][[い段]])に位置する。この位置が音素として古語的には存在してい。現代では「[[]]同じ音で読まれる。[[現代仮名]]は使れず、代わりに「」と書かれる。
'''や行い'''(やぎょうい、[[ファイル:Ya-2.jpg|16px]]'''、'''[[ファイル:ya-yihira.JPG|16px]])は、[[仮名 (文字)|仮名]]のひとつである。[[五十音図]]において第8行第2段([[や行]][[い段]])に位置する。古来日本では「あ行のい」と「や行のい」の区別は存在しなかっが、[[江戸時代]]に両者を区別すべきだいう説が起き、白井寛蔭『韻仮字用例』(1860年刊)は新たな仮名を創作してる。明治初年の教科書の中も書きけているものがある<ref name="ma">{{cite book|和書|author=[[馬渕和夫]]|title=五十音図の話|year=1994|origyear=1993|publisher=[[大修館書店]]|isbn=4469220930|pages=17-24,93}}</ref>


* 現代標準語の[[音韻]]: 「[[い]]」と同じ
* [[音韻]]: 「[[い]]」と同じ
* [[五十音順]]: 第37位
* [[五十音順]]: 第37位
* [[いろは順]]: なし
* [[いろは順]]: なし
* [[平仮名]]「以」の字形: 「以」の[[草書体]]
* [[平仮名]]「以」の字形: 「以」の[[草書体]]([[ファイル:Ya-2.jpg|20px]])
* [[片仮名]]「以」の字形: 「以」の左の部分[{{NDLDC|862191}}]([[ファイル:ya-yihira.JPG|20px]])
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* [[片仮名]]「以」の字形: 「以」の左の部分[{{NDLDC|862191}}]
[[ファイル:ya-yihira.JPG|50px]]
* [[変体仮名]]
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* [[ローマ字]]: '''[[i]]'''または'''yi'''。
* [[Unicode]]: U+1B006“{{変体仮名フォント|𛀆}}”
== 明治時代 ==
== 明治時代 ==
[[1873年]]([[明治]]6年)の国語教科書では文字教育に[[五十音図]]を使用したが、その中で、や行い、[[や行え]]、[[わ行う]]に、[[あ行]]の「い・う・お」とは別の仮名を載せたものがあった。[[片山淳吉]]「綴字篇」や、文部省編纂『小学校教授書』(師範学校)では五十音図のすべての升目に異なる文字が埋まっている。同じ1873年に出版された『小学読本』の五十音図ではこれらの仮名を使っておらず、その後の教科書でも使われていないが、語法書などではその後もこれらの仮名を使うことがあった<ref name="ma"/>
[[1873年]]([[明治]]6年)には、契沖の仮名遣を基礎に、古文献を基準とした歴史的仮名遣が『小学教科書』に採用され、これ以降学校教育によって普及し一般に広く用いられた。


明治前期にこのような事が見られるが、後期以降につくられた書物はや行い、や行え、わ行うの表記は無く、い、え、うに書き変えられている<ref>[{{NDLDC|987633}} 近代デジタルライブラリー - かなづかひ教科書]</ref>
しかしや行い、[[や行え]]、[[わ行う]]が存在しないためそれを当てはめるため無理やり掲載された。下の「綴字篇」は五十音すべてに文字が埋まっている。

明治前期にこのような事が見られるが、後期以降につくられた書物はや行い、や行え、わ行うの表記は無く、い、え、うに書き変えられている<ref>[{{NDLDC|987633}} 近代デジタルライブラリー - かなづかひ教科書]</ref>


[[ファイル:Tuzurizi12.jpg|300px]]
[[ファイル:Tuzurizi12.jpg|300px]]
[[ファイル:Syougaku11.jpg|300px]]
[[ファイル:Syougaku11.jpg|300px]]

== ヤ行イの用法 ==
== ヤ行イの用法 ==
明治の法書で射る、鋳るなどに使われることがあった<ref>{{cite book|和書|url={{NDLDC|862200/9}}|author=村山自彊|author2=中島幹事|title=仮名遣|year=1891|publisher=開新堂|page=9}}</ref>。 →[[上一段活用| ヤ行上一段活用]]
[[現代仮名遣い]]では、全て「い」に書き換えるため、通常使用されることはない。

的には射る、鋳るなどに使われる<ref>[{{NDLDC|862200}} 近代デジタルライブラリー - 仮名遣]</ref>。 →[[上一段活用| ヤ行上一段活用]]

=== 歴史的仮名遣で「や行い」が含まれる語 ===
鋳る(いる)、射る(いる)、老い(おい)、悔い(くい)、報い(むくい)

*「老い」、「悔い」、「報い」はそれぞれ終止形の「おゆ、くゆ、むくゆ」に由来し、ヤ行上二段活用の未然、連用、命令形にのみ現れる


== 文字コード ==
== 文字コード ==

2019年1月24日 (木) 05:53時点における版

平仮名
文字
字源 以の草書体
Unicode U+1B006
片仮名
文字
字源 以の左の部分
言語
言語 ja
発音
IPA [i][1]
種別
清音

や行い(やぎょうい、)は、仮名のひとつである。五十音図において第8行第2段(や行い段)に位置する。古来日本語では「あ行のい」と「や行のい」の区別は存在しなかったが、江戸時代に両者を区別すべきだという説が起き、白井寛蔭『音韻仮字用例』(1860年刊)では新たな仮名を創作している。明治初年の教科書の中にも書きわけているものがある[1]

明治時代

1873年明治6年)の国語教科書では文字教育に五十音図を使用したが、その中で、や行い、や行えわ行うに、あ行の「い・う・お」とは別の仮名を載せたものがあった。片山淳吉「綴字篇」や、文部省編纂『小学校教授書』(師範学校)では五十音図のすべての升目に異なる文字が埋まっている。同じ1873年に出版された『小学読本』の五十音図ではこれらの仮名を使っておらず、その後の教科書でも使われていないが、語法書などではその後もこれらの仮名を使うことがあった[1]

明治前期にこのような事が見られるが、後期以降につくられた書物はや行い、や行え、わ行うの表記は無く、い、え、うに書き変えられている[2]

ヤ行イの用法

明治の語法書で射る、鋳るなどに使われることがあった[3]。 → ヤ行上一段活用

文字コード

平仮名については、2017年6月20日公開のUnicodeバージョン10.0で仮名補助(Kana Supplement)ブロックに追加された計285個の変体仮名の中のU+1B006「“𛀆”」(HENTAIGANA LETTER I-1)を使うことができる。[4]

表示するには追加多言語面の変体仮名に対応しているフォントが必要である。

脚注

  1. ^ a b 馬渕和夫『五十音図の話』大修館書店、1994年(原著1993年)、17-24,93頁。ISBN 4469220930 
  2. ^ 近代デジタルライブラリー - かなづかひ教科書
  3. ^ 村山自彊、中島幹事『仮名遣』開新堂、1891年、9頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/862200/9 
  4. ^ Kana Supplement, Unicode, Inc., http://www.unicode.org/charts/PDF/U1B000.pdf 

参考文献

関連項目