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「やぎ座」の版間の差分

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この[[星座]]には2等星以上の明るい星は無い。
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[[海王星]]は、[[1846年]][[9月23日]]、δ星の近くでドイツの天文学者[[ヨハン・ゴットフリート・ガレ|ガレ]]によって発見された。
[[海王星]]は、[[1846年]][[9月23日]]、δ星の近くでドイツの天文学者[[ヨハン・ゴットフリート・ガレ|ガレ]]によって発見された。


== 主な天体 ==
== 主な天体 ==
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{{See also|やぎ座の恒星の一覧}}
{{See also|やぎ座の恒星の一覧}}
明るい星はα星、δ星、ω星の3星を結ぶ3角形上にある。
明るい星はα星、δ星、ω星の3星を結ぶ3角形上にある。
* [[やぎ座アルファ星|α星]]:アルゲディ(Algedi、「ヤギ」)は、肉眼でも分離できる2重星。
* [[やぎ座アルファ星|α星]]:アルゲディ(Algedi、アラビア語で仔山羊を意味する言葉に由来{{R|Kunitzsch}})は、肉眼でも分離できる重星。
* [[やぎ座ベータ星|β星]]:ダビー(Dabih、「屠殺者の幸運」)
* [[やぎ座ベータ星|β星]]:ダビー(Dabih、アラビア語で「屠殺者の幸運」を意味する言葉に由来{{R|Kunitzsch}})
* [[やぎ座デルタ星|δ星]]:デネブ・アルゲディ(Deneb Algedi、「ヤギの尾」)は、やぎ座で最も明るい恒星。
* [[やぎ座デルタ星|δ星]]:デネブ・アルゲディ(Deneb Algedi、アラビア語で「ヤギの尾」を意味する言葉に由来{{R|Kunitzsch}})は、やぎ座で最も明るい恒星。


== 由来と歴史 ==
== 由来と歴史 ==
英語では、[[至点|冬至点]]をやぎ座の名(The Tropic of Capricorn)で呼ぶが、現代の冬至点は[[いて座]]あり、やぎ座にはない。これは、古代[[バビロニア]]時代、冬至点がこの星座の中にあった名残だとされる<ref name="hosizora" />。地球の歳差運動のために、冬至点は年とともに西に移動する。そのため、冬至点がやぎ座にあった時代は、ちょうどバビロニア時代ごろになる<ref name="hosizora" />。このころに黄道12宮が制定されたため、冬至点をThe Tropic of Capricornと呼ぶようになった。きわめて古い星座であることが分かっているもののうちの1つである。
英語では、[[至点|冬至点]]をやぎ座の名(The Tropic of Capricorn)で呼ぶが、現代の冬至点は[[いて座]]あり、やぎ座にはない。これは、古代[[バビロニア]]時代、冬至点がこの星座の中にあった名残だとされる{{R|hoshizora}}。地球の歳差運動のために、冬至点は年とともに西に移動する。そのため、冬至点がやぎ座にあった時代は、ちょうどバビロニア時代ごろになる{{R|hoshizora}}。このころに黄道12宮が制定されたため、冬至点をThe Tropic of Capricornと呼ぶようになった。きわめて古い星座であることが分かっているもののうちの1つである。


== 神話 ==
== 神話 ==
=== 古代メソポタミア ===
=== 古代メソポタミア ===
上半身は牡(または若い)[[ヤギ]]で、下半身は[[コイ]]の[[エンキ]]であるとされる<ref name="myth" />
上半身は牡(または若い)[[ヤギ]]で、下半身は[[コイ]]の[[エンキ]]であるとされる{{R|myth}}


=== ギリシア神話 ===
=== ギリシア神話 ===
『[[カタステリスモイ]]』が引く[[エピメニデス]]の説では、アイギパーンが神々とともに[[ティーターン]]と戦った際に、貝殻を[[ホラガイ]]のごとく吹き鳴らしたところ、ティーターンたちはその轟音に[[パニック]]を起こして潰走した。そのため、ゼウスがその戦功を嘉して星座とした。下半身が魚であるのは、魚と化して海に潜り、貝殻を手に入れた際の姿であるという。
『[[カタステリスモイ]]』が引く[[エピメニデス]]の説では、アイギパーンが神々とともに[[ティーターン]]と戦った際に、貝殻を[[ホラガイ]]のごとく吹き鳴らしたところ、ティーターンたちはその轟音に[[パニック]]を起こして潰走した。そのため、ゼウスがその戦功を嘉して星座とした。下半身が魚であるのは、魚と化して海に潜り、貝殻を手に入れた際の姿であるという。


しかし一般の説では、神々がナイル川沿いで宴会を開いていたところ、突然、怪物[[テューポーン]]が現れ、驚いた神々は動物に姿を変えて逃げた<ref name="hosizora" />。ヤギ頭の牧神[[パーン (ギリシア神話)|アイギパーン]]はナイル川に飛び込んだところ下半身だけが魚になり、その姿が大神[[ゼウス]]によって星座とされた<ref name="hosizora" />。この神話から、ヨーロッパでは、角のある海ヤギという想像上の動物とされることが多い。
しかし一般の説では、神々がナイル川沿いで宴会を開いていたところ、突然、怪物[[テューポーン]]が現れ、驚いた神々は動物に姿を変えて逃げた{{R|hoshizora}}。ヤギ頭の牧神[[パーン (ギリシア神話)|アイギパーン]]はナイル川に飛び込んだところ下半身だけが魚になり、その姿が大神[[ゼウス]]によって星座とされた{{R|hoshizora}}。この神話から、ヨーロッパでは、角のある海ヤギという想像上の動物とされることが多い。


=== ローマ神話 ===
=== ローマ神話 ===
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== 出典 ==
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2016年5月12日 (木) 11:40時点における版

やぎ座
Capricornus
Capricornus
属格 Capricorni
略符 Cap
発音 [ˌkæprɨˈkɔrnəs]、属格:/ˌkæprɨˈkɔrnaɪ/
象徴 the Sea Goat
概略位置:赤経 21
概略位置:赤緯 −20
広さ 414平方度[1]40位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
49
3.0等より明るい恒星数 1
最輝星 δ Cap(2.83
メシエ天体 1
確定流星群 Alpha Capricornids
Chi Capricornids
Sigma Capricornids
Tau Capricornids
Capricorniden-Sagittariids
隣接する星座 みずがめ座
わし座
いて座
けんびきょう座
みなみのうお座
テンプレートを表示

やぎ座(山羊座、Capricornus, Capricorn)は、黄道十二星座の1つ。トレミーの48星座の1つでもある。

この星座には2等星以上の明るい星は無い。

海王星は、1846年9月23日、δ星の近くでドイツの天文学者ガレによって発見された。

主な天体

恒星

明るい星はα星、δ星、ω星の3星を結ぶ3角形上にある。

  • α星:アルゲディ(Algedi、アラビア語で「仔山羊」を意味する言葉に由来[2])は、肉眼でも分離できる二重星。
  • β星:ダビー(Dabih、アラビア語で「屠殺者の幸運」を意味する言葉に由来[2])
  • δ星:デネブ・アルゲディ(Deneb Algedi、アラビア語で「ヤギの尾」を意味する言葉に由来[2])は、やぎ座で最も明るい恒星。

由来と歴史

英語では、冬至点をやぎ座の名(The Tropic of Capricorn)で呼ぶが、現代の冬至点はいて座にあり、やぎ座にはない。これは、古代バビロニア時代、冬至点がこの星座の中にあった名残だとされる[3]。地球の歳差運動のために、冬至点は年とともに西に移動する。そのため、冬至点がやぎ座にあった時代は、ちょうどバビロニア時代ごろになる[3]。このころに黄道12宮が制定されたため、冬至点をThe Tropic of Capricornと呼ぶようになった。きわめて古い星座であることが分かっているもののうちの1つである。

神話

古代メソポタミア

上半身は牡(または若い)ヤギで、下半身はコイエンキであるとされる[4]

ギリシア神話

カタステリスモイ』が引くエピメニデスの説では、アイギパーンが神々とともにティーターンと戦った際に、貝殻をホラガイのごとく吹き鳴らしたところ、ティーターンたちはその轟音にパニックを起こして潰走した。そのため、ゼウスがその戦功を嘉して星座とした。下半身が魚であるのは、魚と化して海に潜り、貝殻を手に入れた際の姿であるという。

しかし一般の説では、神々がナイル川沿いで宴会を開いていたところ、突然、怪物テューポーンが現れ、驚いた神々は動物に姿を変えて逃げた[3]。ヤギ頭の牧神アイギパーンはナイル川に飛び込んだところ下半身だけが魚になり、その姿が大神ゼウスによって星座とされた[3]。この神話から、ヨーロッパでは、角のある海ヤギという想像上の動物とされることが多い。

ローマ神話

ヤギの姿のカプリコルヌスとされる。

出典

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. pp. 24-25. ISBN 978-1-931559-44-7 
  3. ^ a b c d 長島晶裕/ORG『星空の神々 全天88星座の神話・伝承』新紀元社、2012年。ISBN 978-4-7753-1038-0 
  4. ^ 近藤二郎『わかってきた星座神話の起源-古代メソポタミアの星座』誠文堂新光社、2010年12月。ISBN 978-4416210246 

座標: 星図 21h 00m 00s, −20° 00′ 00″