コンテンツにスキップ

「サーバル」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Bellcricket (会話 | 投稿記録)
m +{{半保護}}
RxyBot (会話 | 投稿記録)
m ボットによる: 失効したテンプレートを削除
1行目: 1行目:
{{半保護}}
{{Otheruses|ネコ科の動物|ドイツの戦闘車両|AGF サーバル}}
{{Otheruses|ネコ科の動物|ドイツの戦闘車両|AGF サーバル}}
{{出典の明記|date=2017年2月}}
{{出典の明記|date=2017年2月}}

2020年6月7日 (日) 21:02時点における版

サーバル
サーバル
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
亜科 : ネコ亜科 Felinae
: (ネコ族 Felini)
: サーバル属 Leptailurus Severtzov, 1858[4][5]
: サーバル L. serval
学名
Leptailurus serval
(Schreber, 1776)[3][4][6][7][8]
シノニム

Felis serval Schreber, 1776[4]
Felis servalina Ogilby, 1839[6]
Felis brachyura Wagner, 1841[6]
Caracal serval[3]
Felis capensis (Forster, 1781)
Felis galeopardus (Desmarest, 1820)
Felis ogilbyi Schinz, 1844
Felis algiricus (J. B. Fischer, 1829)
Felis senegalensis (Lesson, 1839)
[要出典]

和名
サーバル[9][10]
英名
Serval[3][4][10]

分布域

大きな耳で獲物を探すサーバル

サーバルLeptailurus serval)は、哺乳綱食肉目ネコ科サーバル属に分類される食肉類。本種のみでサーバル属を構成する[4]

中型の肉食獣である。レプタイルルス属はセルヴァル(セルウァル)種のみで構成され、セルヴァル種は18亜種(現生は17)からなる。ハイブリッド(サバンナキャット)は分類の外にある。毛皮を取るために狩猟され、個体数は時代を追うごとに減ってきている[要出典]

分布

主にサハラ砂漠以南のアフリカ大陸(後述の例外あり)[3]。モロッコでも小規模な個体群が隔離分布する[3]。アルジェリアでは絶滅したと考えられ、チュニジアには再導入された[3]

かつてはサハラ砂漠の北縁部にも広く生息していたが、この地域では絶滅し、今ではサヘル(サハラ砂漠南縁部)以南のアフリカ大陸にまばらな状態で分布する[要検証]

形態

頭胴長(体長)60 - 100センチメートル[10]。頭胴長67-100 cm。尾長24 - 45センチメートル[10]。肩高54-62 cm。体重8.6 - 18キログラム[10]。体に比べて尾がやや短い[11]。ほっそりした美しい体型をもつ。全身は柔らかい体毛で密に被われる[10]。体毛は短くやわらか。体色は黄色や黄褐色で、腹面や四肢の内側は白っぽい[10]。小さな黒い斑点が入るが、頸部や肩・肘では斑点が筋状になる[10]。毛色は黄褐色で小さな黒い斑点がある。また首の後ろ、肩に6本ほどの黒い線がある。尾は黒い輪状の斑紋が入り、先端は黒い[10]。尾の斑点は先にいくにつれて黒いリング状になる。下腹部や肢の内側は白っぽい。毛色には個体差があり、まれに全身真っ黒のものもいる。西アフリカの個体群は体色が濃く斑点が小型なことから、別種Felis servalinaとみなされたこともある[10]

耳介は大型で、先端は丸みを帯びる[10]。顔の大きさに比べると、耳は他のネコ科動物に比べても際立って大きく、敏感である。その聴力は土の中にいるネズミの動きも感知できると思われている。耳のほか、後ろ足も大きく発達しており、高さ2メートル、距離4メートル前後のジャンプも可能にしている。

染色体数は2n = 36[6]

分類

ヒョウ亜科

マーブルキャットPardofelis marmota

ボルネオヤマネコPardofelis badia

アジアゴールデンキャット
Pardofelis temmincki

サーバル Caracal serval

アフリカゴールデンキャット
Caracal aurata

カラカルCaracal caracal

ネコ亜科の他属

Johnson et al.,(2006)よりX染色体・Y染色体・ミトコンドリアDNAの遺伝子より推定した系統樹より抜粋[12]

以前はネコ属オオヤマネコ属に分類されることもあった[6]。分子系統推定ではアフリカゴールデンキャットカラカルからなる単系統群の姉妹群と推定され、Caracal属に含める説もある[12]。アフリカゴールデンキャットやカラカルと共通の祖先から、5,400,000年前に分岐したと推定されている[3]

体色や斑点の変異が大きく亜種の分類は混乱しており、17亜種(Allen,1939)、6亜種(Smithers,1978)、7亜種(Nowell & Jackson,1997)とする説もあった[6]。以下の分類はMSW3(Wozencraft,2005)に従う[4]ただし、タイプ亜種はすでに絶滅していて、現生亜種の数は17である[13][14][要検証]

Leptailurus serval serval (Schreber, 1776)
タイプ亜種であるが、すでに絶滅した。生息していたのは、南アフリカ共和国ケープ州[要検証]
Leptailurus serval beirae (Wroughton, 1910)
モザンビークに生息。
Leptailurus serval brachyurus (Wagner, 1841)
アフリカ西部、サヘル、エチオピアに生息。
Leptailurus serval constantinus (Forster, 1780)
模式産地はコンスタンティーヌ(アルジェリア)[15]
サハラ砂漠の北縁部と南縁部(すなわちサヘル)に広く生息していたが、北縁部ではすでに絶滅し、現在はサヘルのアルジェリア領内にのみ絶滅危惧種として残存する[要検証]
Leptailurus serval faradjius J. A. Allen, 1924
Leptailurus serval ferrarii (de Beaux, 1924)
Leptailurus serval hamiltoni Roberts, 1931
トランスヴァール東部に生息。
Leptailurus serval hindei (Wroughton, 1910)
タンザニアに生息。
Leptailurus serval kempi (Wroughton, 1910)
ウガンダに生息。
Leptailurus serval kivuensis (Lonnberg, 1919)
コンゴ共和国に生息。
Leptailurus serval lipostictus (Pocock, 1907)
模式産地はモンバサ(ケニア)[15]
アンゴラ北部に生息[要出典]
Leptailurus serval lonnbergi (Cabrera, 1910)
アンゴラ南部に生息。
Leptailurus serval mababiensis Roberts, 1932
ボツワナ北部に生息。
Leptailurus serval pantastictus (Pocock, 1907)
Leptailurus serval phillipsi (G. M. Allen, 1914)
模式産地は青ナイル河岸(スーダン)[15]
Leptailurus serval pococki (Cabrera, 1910)
Leptailurus serval robertsi Ellerman, Morrison-Scott & Hayman, 1953
トランスヴァール西部に生息。
Leptailurus serval togoensis (Matschie, 1893)
模式産地はBismarckburg(トーゴ[15]
トーゴ、ベナンに生息。

3亜種のみにまとめる説もある。以下の分類・分布はIUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[15]

Leptailurus serval serval (Schreber, 1776)
アフリカ大陸南部
Leptailurus serval constantinus (Forster, 1780)
アフリカ大陸西部・中部
Leptailurus serval lipostictus (Pocock, 1907)
アフリカ大陸東部

飼育下ではカラカル、ヨーロッパヤマネコ、イエネコと種間雑種を形成した例がある[6]

生態

ジャンプをするサーバル

開けたサバンナや草原・森林(熱帯雨林を除く[3])などに生息し、沼沢地や河川の周囲を好む[10]。丈の高い草原や川辺の葦原、森林の沼地などに生息する。単独棲で、木に登るが、主として地上棲。夜行性だが、昼間に活動することもある[10]。特に昼間の気温があまり上昇しないときなどは、昼間でも積極的に活動する。普段は背の高い草のしげみや雑林などに身を隠すようにして生活している。

アフリカタケネズミ属Tachyoryctesアラゲジリス属コツメデバネズミ属Cryptomysタチチネズミ属Mastomysホップネズミ属Otomysなどの齧歯類などを含む小型哺乳類、キンランチョウ属Euplectesハタオリ属Ploceusといったハタオリドリ類などの鳥類を食べるが、卵、爬虫類、カエル、魚類、昆虫、カニなどを食べた例もある[6]。主に小型哺乳類を食べ、ジンバブエでの65件の胃の内容物調査では97 %を小型哺乳類、糞の内容物調査では南アフリカ共和国で93.5 %・ウガンダで80 %以上が齧歯類などが占めていたという報告例もある[6]ノウサギ属や、少数ではあるが大型の獲物として小型レイヨウの幼獣、コウノトリ類サギ類フラミンゴ類などの大型の鳥類を捕食した例もある[6]。草や、バナナ類やアボカド類の果実を食べた例もある[6]ネズミ類やウサギ類、ホロホロチョウなどの鳥類を狩る[16]。狩りの際には跳躍して、空中で鳥類に襲いかかることもある[10]。ネズミなどにもジャンプして上から襲いかかることも多い。時には1メートルほどの毒蛇までも狩るほどの高い運動能力を具える。足が速く、木登りや泳ぎも上手い。狩りのスタイルは、茂みなどに身を隠しながら忍び寄り、発達した後肢を利用したジャンプによる奇襲を得意としている。性質は荒く、時にイヌを殺すこともあるが、若い個体はヒトに慣れやすい。

雄は縄張りを持つが、縄張りの境はあまり厳格ではない。雌は雄の縄張りの中を自由に行き来する。雌は気に入った雄と交尾をする。妊娠期間は67 - 77日[10]。岩の割れ目や草むらの中に作った巣穴・ツチブタやヤマアラシ類の古巣などで、一度の出産で2 - 3匹の幼獣を産む[10]。子供の体重は230-260グラム[17]。母親のみが育児を行う。授乳期間は6か月[10]。子供は6か月ほど母乳を飲むが、2か月弱で母親がしとめた獲物も口にするようになる。母親は狩りに出るとき、幼体を置き去りにして狩りに向かうが、このときヤマアラシやツチブタなどが破棄した場所などを育児用の巣として使い、子供を隠している。子供はその間、眠ったり、お互いにじゃれ合って遊んだりしながら、母親の帰りを待つ。生後10か月ほどになると、自ら狩りをするようになり、雄は12か月ほどで巣立っていく。雌もそのしばらく後に独り立ちをする。生後1年半から2年で独立する[10]。生後2年で性成熟する[10]

多くの生息地域では食物連鎖の頂点近くに位置している(頂点捕食者に近い)ので、外敵は少ない。もっとも、他の肉食獣と同様に、幼獣は他の肉食獣や猛禽の獲物として狙われやすく、生息地域の重なるハイエナは特に警戒すべき捕食者となっている。このため、母親は危険を察知すると巣を移動することがある。

人間との関係

名前は元々はポルトガル語でスペインオオヤマネコを指していた、lobo-cerval(シカのようなオオカミ)が転じたとする説もある[6]。名前はポルトガル語で「猟犬」を意味する語に由来するという説もある[10]。ラテン語の"cervus"(牡鹿)に由来するという説がある[18][要検証]

農村部では家禽を襲う害獣とみなされることもある[3]

毛皮が利用されることもある[3]

生息数の推移や後述する分布の拡大などの確実な証拠はないものの、獲物がいれば農地開発などにも適応することがあり絶滅の危険性は低いと考えられている[3]。湿地の開発や過放牧などによる生息地の破壊、およびそれによる獲物の減少による影響が懸念されている[3]。一方でウガンダ南西部やガボン・中央アフリカ共和国東部、ナミビア中部・南アフリカ共和国中部や北西部など、新しい産地や再定着したと思われる地域での報告例もある[3]。1977年にネコ科単位でワシントン条約附属書IIに掲載されている[2]

家畜家禽を保護するために捕殺する、美しい毛皮を取るために狩る(かつては当然の行いとして、現代では密猟として)などといった行為は、何世紀にもわたって続けられており、サーバルの生態に多大なる影響をもたらしてきた。人間の居住区近くに姿を現すこともあり、夜間の行動中に自動車と接触して轢死する個体も少なくない。

訓練次第ではとても良く懐き、人間の気持ちを読み取ることに長けている。日本では高級ペットとして、平均200万円前後の価格(2010年代時点)で販売されている[要検証]。日本ではレプタイルルス・セルヴァルとして特定動物に指定されている[19]。日本の場合、飼育にあたっては都道府県知事による危険動物の飼育許可と厳重な飼育設備が必要となる。

サバンナキャット

1986年4月7日、サーバルと、イエネコの1品種であるベンガル交配によって、ハイブリッド種が生み出された。これはサバンナ(英語:Savannah)と命名され、サバンナキャット(英語:Savannah cat)と俗称されるようになった。本種は TICA によって野生動物と認定されているため、アメリカニューヨーク州マサチューセッツ州ハワイ州ジョージア州の法律では、飼育禁止となっている。大型で性格は外交的である。

出典

  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed 02/08/2018)
  2. ^ a b UNEP (2018). Leptailurus serval. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 02/08/2018)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n Thiel, C. 2015. Leptailurus serval. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T11638A50654625. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-2.RLTS.T11638A50654625.en, Downloaded on 02 August 2018.
  4. ^ a b c d e f W. Christopher Wozencraft, "Leptailurus," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Page 540.
  5. ^ Luke Hunter, "Leptailurus," The Mammals of Africa, Volume V: Carnivores, Pangolins, Equids and Rhinoceroses, J. Kingdon and M. Hoffmann (eds), Bloomsbury Publishing, London, 2013, Page 179.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l Luke Hunter & Jane Bowland, "Leptailurus serval," The Mammals of Africa, Volume V: Carnivores, Pangolins, Equids and Rhinoceroses, J. Kingdon and M. Hoffmann (eds), Bloomsbury Publishing, London, 2013, Pages 180-184.
  7. ^ Kristin Nowell, Peter Jackson, "Serval, Leptailurus serval," Wild Cats: Status Survey and Conservation Action Plan, IUCN/SSC Cat Specialist Group, 1996, Pages 17-21.
  8. ^ Mel Sunquist and Fiona Sunquist, "Serval Leptailurus serval (Schreber, 1776)," Wild Cats of the World, University of Chicago Press, 2002, Pages 142-151.
  9. ^ 川田伸一郎, 岩佐真宏, 福井大, 新宅勇太, 天野雅男, 下稲葉さやか, 樽創, 姉崎智子, 横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁, doi:10.11238/mammalianscience.58.S1
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 成島悦雄 「ネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150-171頁。
  11. ^ 今泉 p.74
  12. ^ a b Warren E. Johnson, Eduardo Eizirik, Jill Pecon-Slattery, William J. Murphy, Agostinho Antunes, Emma Teeling, Stephen J. O'Brien, "Late Miocene Radiation of Modern Felidae: A Genetic Assessment[リンク切れ]," Science, Volume 311, Number 5757, 2006, Pages 73-77.
  13. ^ Wilson, D.E.; Reeder, D.M., eds. (2005). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494
  14. ^ Leptailurus serval (Serval)”. International Union for Conservation of Nature and Natural Resources.. 2018年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月16日閲覧。
  15. ^ a b c d e IUCN SSC Cat Specialist Group, "Leptailurus serval," Cat News, Spacial Issue 11, 2017, Pages 58-60.
  16. ^ 今泉 p.71
  17. ^ 今泉 p.73
  18. ^ 『ランダムハウス英和大辞典』[要文献特定詳細情報]
  19. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2018年8月2日に利用)

参考文献

  • 今泉忠明『野生ネコの百科』(最新版)データハウス、2004年。ISBN 9784887187726 

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、サーバルに関するメディアがあります。
ウィキスピーシーズには、サーバルに関する情報があります。