「タラバガニ」の版間の差分
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2019年9月14日 (土) 07:21時点における版
{{生物分類表 |色 = 動物界 |名称 = おっパイ |画像 = タラバガニ(鱈場蟹、学名:Paralithodes camtschaticus、英語:Red king crab)は、十脚目(エビ目) - 異尾下目(ヤドカリ下目) - タラバガニ科 - タラバガニ属に分類される甲殻類の一種である。タラバガニ属はタラバガニを含む5種からなる。
呼称
学名
種小名 camtschaticus は分布域内にあるカムチャツカ半島に由来する。種小名は女性形 camtschatica が用いられることもあるが、属名の Paralithodes は男性形なので、同じく男性形の camtschaticus を使用するのが望ましい。
通称等
和名は生息域がタラの漁場(鱈場[たらば])と重なることに由来し、古来、「鱈場蟹」と呼ばれてきたものを、本草学および、博物学とその後継である生物学が、学術名として引き継いだものである。「カニ」の名称は学術的には問題があるが、広く普及している通俗名を重視する姿勢をもって、改められることなく採用された。
英語では king crab という大グループのうちの一種との認識で、red king crab (仮名転写:レッドキングクラブ)と呼ばれる。一方で、カブトガニも同じ英名 King Crab と呼ばれるが、こちらはカニではなく、クモに近い動物である。
分類
タラバガニ属とその下位分類5種(タラバガニとその近縁種)
近縁種として、北日本沿岸に分布するタラバガニ属(学名:genus Paralithodes)として、タラバガニ(学名:P. camtschaticus、英語名:red king crab)のほかに、アブラガニ(学名:P. platypus、英語名:blue king crab)と ハナサキガニ(学名:P. brevipes)、北太平洋東岸の P. californiensis (英語名:California king crab)、および、P. rathbuni の4種類がある。前3者はどれもタラバガニ同様重要な食用種となっている。
そのほか、チリ・アルゼンチン付近に分布する南タラバガニ(学名:Lithodes santolla、英語名:Southern king crab)、Lithodes Turkayi(英語名:South Atlantic king crab)や南極イバラガニ(学名:Paralomis spinosissima、英語名:Antarctic stone crab)も食用種として捕獲されている。
生物的特徴
形態等
甲幅は25cmほどで、脚を広げると1mを超える大型甲殻類である。全身が短い棘状突起で覆われている。 食用として流通する際は茹でられて赤橙色になったもの(外骨格に含まれる成分であるアスタキサンチンが加熱によって可視化したもの)が多いが、生体は背中側が暗紫色、腹側が淡黄色をしている。
甲は丸みがあり、やや前方に尖った五角形をしている。両脇が盛りあがり、複眼の間に尖った額角、中央に"H"型の溝がある。なお、心域(H字の中央下の区画)に6つの突起があり、ここで近縁種のアブラガニ(突起が4つだけ)と区別できるが、稀に5本の個体(アブラガニ)も見つかる[7]。
5対の歩脚のうち、第1歩脚は、鋏脚で、右の鋏が左より大きい。太くて長い歩脚の中では第3脚が特に長い。第5歩脚は小さくて鰓室(さいしつ)に差し込まれており、鰓(えら)の掃除をする役割がある。このため外見はほぼ「カニ」であるが、脚が3対しかないように見える。他にもメスの腹部の左右が異なり、腹肢が左側のみにあることなど、ヤドカリ類の特徴がある。また、横方向に移動するのが一般的であるカニに対して、タラバガニは縦方向にも移動ができる。顔立ちもよく見ると、カニ類よりは、ヤドカリ類に近い特徴を備えていることがわかる。
分布・生態
日本海、オホーツク海、ベーリング海を含む北太平洋と北極海のアラスカ沿岸、ガラパゴス諸島、チリ、アルゼンチン付近に分布する。日本の太平洋沿岸では、駿河湾や徳島県沖の水深約850- 約1,100mの海域での捕獲も記録されている。
食性は肉食で多毛類、貝類など様々な小動物を捕食する。一方、天敵としては、人間以外にもオオカミウオやミズダコなどがいる。
なお、ロシア・ノルウェー国境沖のバレンツ海には分布していなかったが、1960年代に旧・ソビエト連邦の科学者がバレンツ海に放流し、繁殖させることに成功した。1980年代後半からノルウェー沖でも生息が観察されるようになり、現在[いつ?]でも分布域を広げつつある。この個体群はロシア・ノルウェー両国で漁業資源として利用されているが、天敵がいない環境で爆発的繁殖を遂げ、外来種として既存の生態系を脅かす存在ともなっている[8]。このため、現地では旧・ソビエト連邦時代の国家元首の名にちなんで Stalin crab (スターリンクラブ)とも別称されている。
4月から6月に浅場で産卵し、成体は水深30- 350m程度の砂泥底に生息するが、若い個体は浅海にも生息する。水温の低い高緯度海域ほど浅い場所に生息する。オス・メス共に孵化後、4年程度で成熟した後に繁殖を行い、15年程度生存する。メス1匹あたりの孵化数は、高齢個体ほど多いと考えられる。種苗稚ガニ生産用に育成した個体では、16,000粒から80,000粒程度を抱卵した。
日本人との関わり
漁獲
日本における主な漁場はオホーツク海で、沖合[[]]からの輸入品が「子持ちタラバ」として流通している。
海外におけるタラバガニのじくベーリング海のノートンサウンドという名の入り江やカムチャッカ半島近海などが有名である。
その中でもアメリカ)が非常に人気があり日本にも毎年輸入されている。
日本への輸入業者としてはアメリカ[トライデントシーフード]]やニッスイが代表的である。
流通・食用
塩茹でや蒸し蟹として流通することが多く、そのままを刺身で賞味することもあるがとは違い、カニミソは油分・水分が多く生臭さがあり、通常は食用にされない。
アブラガニとの混同
アブラガニはしば混同されることもあるが、アブラガニを「タラバガニ」と表示して販売することは、日本では禁止されている。
2004年に「タラバガニ」の原材料偽装(実際はアブラガニ引用エラー: <ref>
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タグが不足しています<ref>. の存在が広く知られるところとなったOrtmann, 1892-->)など多くの近縁種を抱えているので、こちらも偽装に使われるのではないかと指摘する関係者も存在する。
脚注・出典
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
- ^ 出典 : 水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 底魚生態研究室 (2007年). “SSP-PCR法によるタラバガニ類の種判別方法の確立”. (公式ウェブサイト). 農林水産省 農林水産技術会議事務局. 2010年4月14日閲覧。
- ^ 出典 : NHK 地球ドラマチック 「増殖中!タラバガニ 生態系を壊す!海底の王者」2014年10月11日放送分
参考文献
この記事で示されている出典について、該当する記述が具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 |
- 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑』 〈1〉、保育社、1982年8月。ISBN 978-4-5863-0062-4。
- 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』(学生版(第2版))北隆館、1990年12月。ISBN 978-4-8326-0042-3。
- “タラバガニ類種苗生産技術の確立 - 水産研究所”. 根室市役所(公式ウェブサイト). 根室市. 2010年4月14日閲覧。
関連項目
外部リンク
- タラバガニ (PDF) - 水産総合研究センター
- 網走のおさかな図鑑 タラバガニ - 網走市