コンテンツにスキップ

「タラバガニ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
編集の要約なし
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
1行目: 1行目:
{{生物分類表
{{生物分類表
|色 = 動物界
|色 = 動物界
|名称 = タラバガニ
|名称 = おっパイ
|画像 = [[ファイル:KingCrab.jpg|250px|タラバガニ])Cyclops:2010-04-14-->
|画像 = [[ファイル:KingCrab.jpg|250px|タラバガニ])Cyclops:2010-04-14-->
{{栄養価 | name=タラバガニ(生)| water =|235px|タラバガニの大きさ]]
{{栄養価 | name=タラバガニ(生)| water =|235px|タラバガニの大きさ]]

2019年9月14日 (土) 07:21時点における版

{{生物分類表 |色 = 動物界 |名称 = おっパイ |画像 = タラバガニの大きさ タラバガニ(鱈場蟹、学名Paralithodes camtschaticus英語Red king crab)は、十脚目(エビ目) - 異尾下目(ヤドカリ下目) - タラバガニ科 - タラバガニ属英語版に分類される甲殻類一種である。タラバガニ属はタラバガニを含む5種からなる。

和名に「カニ」の名があるが、生物学上はヤドカリっている。

呼称

学名

種小名 camtschaticus は分布域内にあるカムチャツカ半島に由来する。種小名は女性形 camtschatica が用いられることもあるが、属名Paralithodes は男性形なので、同じく男性形の camtschaticus を使用するのが望ましい。

通称等

和名は生息域がタラ漁場(鱈場[たらば])と重なることに由来し、古来、「鱈場蟹」と呼ばれてきたものを、本草学および、博物学とその後継である生物学が、学術名として引き継いだものである。「カニ」の名称は学術的には問題があるが、広く普及している通俗名を重視する姿勢をもって、改められることなく採用された。

英語では king crab という大グループのうちの一種との認識で、red king crab仮名転写:レッドキングクラブ)と呼ばれる。一方で、カブトガニも同じ英名 King Crab と呼ばれるが、こちらはカニではなく、クモに近い動物である。

分類

タラバガニ属とその下位分類5種(タラバガニとその近縁種)

近縁種として、北日本沿岸に分布するタラバガニ属(学名:genus Paralithodes)として、タラバガニ(学名:P. camtschaticus、英語名:red king crab)のほかに、アブラガニ(学名:P. platypus、英語名:blue king crab)と ハナサキガニ(学名:P. brevipes)、北太平洋東岸の P. californiensis (英語名:California king crab)、および、P. rathbuni の4種類がある。前3者はどれもタラバガニ同様重要な食用種となっている。

そのほか、チリ・アルゼンチン付近に分布する南タラバガニ(学名:Lithodes santolla、英語名:Southern king crab)、Lithodes Turkayi(英語名:South Atlantic king crab)や南極イバラガニ(学名:Paralomis spinosissima、英語名:Antarctic stone crab)も食用種として捕獲されている。

生物的特徴

形態等

インディアナポリス子供博物館のコレクションのタラバガニ。

幅は25cmほどで、を広げると1mを超える大型甲殻類である。全身が短い状突起で覆われている。 食用として流通する際は茹でられて赤橙色になったもの(外骨格に含まれる成分であるアスタキサンチンが加熱によって可視化したもの)が多いが、生体は背中側が暗紫色、腹側が淡黄色をしている。

甲は丸みがあり、やや前方に尖った五角形をしている。両脇が盛りあがり、複眼の間に尖った額角、中央に"H"型の溝がある。なお、心域(H字の中央下の区画)に6つの突起があり、ここで近縁種のアブラガニ(突起が4つだけ)と区別できるが、稀に5本の個体(アブラガニ)も見つかる[7]

5対の歩脚のうち、第1歩脚は、鋏脚で、右の鋏が左より大きい。太くて長い歩脚の中では第3脚が特に長い。第5歩脚は小さくて鰓室(さいしつ)に差し込まれており、(えら)の掃除をする役割がある。このため外見はほぼ「カニ」であるが、脚が3対しかないように見える。他にもメスの腹部の左右が異なり、腹肢が左側のみにあることなど、ヤドカリ類の特徴がある。また、横方向に移動するのが一般的であるカニに対して、タラバガニは縦方向にも移動ができる。顔立ちもよく見ると、カニ類よりは、ヤドカリ類に近い特徴を備えていることがわかる。

分布・生態

日本海オホーツク海ベーリング海を含む北太平洋北極海アラスカ沿岸、ガラパゴス諸島チリアルゼンチン付近に分布する。日本の太平洋沿岸では、駿河湾徳島県沖の水深約850- 約1,100mの海域での捕獲も記録されている。

食性肉食多毛類貝類など様々な小動物捕食する。一方、天敵としては、人間以外にもオオカミウオミズダコなどがいる。

なお、ロシアノルウェー国境沖のバレンツ海には分布していなかったが、1960年代に旧・ソビエト連邦の科学者がバレンツ海に放流し、繁殖させることに成功した。1980年代後半からノルウェー沖でも生息が観察されるようになり、現在[いつ?]でも分布域を広げつつある。この個体群ロシアノルウェー両国で漁業資源として利用されているが、天敵がいない環境で爆発的繁殖を遂げ、外来種として既存の生態系を脅かす存在ともなっている[8]。このため、現地では旧・ソビエト連邦時代の国家元首の名にちなんで Stalin crabスターリンクラブ)とも別称されている。

4月から6月に浅場で産卵し、成体は水深30- 350m程度の砂泥底に生息するが、若い個体は浅海にも生息する。水温の低い高緯度海域ほど浅い場所に生息する。オス・メス共に孵化後、4年程度で成熟した後に繁殖を行い、15年程度生存する。メス1匹あたりの孵化数は、高齢個体ほど多いと考えられる。種苗稚ガニ生産用に育成した個体では、16,000粒から80,000粒程度を抱卵した。

日本人との関わり

漁獲

日本における主な漁場オホーツク海で、沖合[[]]からの輸入品が「子持ちタラバ」として流通している。

海外におけるタラバガニのじくベーリング海のノートンサウンドという名の入り江やカムチャッカ半島近海などが有名である。

その中でもアメリカ)が非常に人気があり日本にも毎年輸入されている。

日本への輸入業者としてはアメリカ[トライデントシーフード]]やニッスイが代表的である。

流通・食用

塩茹で蒸し蟹として流通することが多く、そのままを刺身で賞味することもあるがとは違い、カニミソは油分・水分が多く生臭さがあり、通常は食用にされない。

アブラガニとの混同

アブラガニはしば混同されることもあるが、アブラガニを「タラバガニ」と表示して販売することは、日本では禁止されている。

2004年に「タラバガニ」の原材料偽装(実際はアブラガニ引用エラー: <ref> タグに対応する </ref> タグが不足しています<ref>. の存在が広く知られるところとなったOrtmann, 1892-->)など多くの近縁種を抱えているので、こちらも偽装に使われるのではないかと指摘する関係者も存在する。 

脚注・出典

  1. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  2. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  3. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  4. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  5. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  6. ^ 出典 : ITIS (Integrated Taxonomic Information System)
  7. ^ 出典 : 水産総合研究センター北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 底魚生態研究室 (2007年). “SSP-PCR法によるタラバガニ類の種判別方法の確立”. (公式ウェブサイト). 農林水産省 農林水産技術会議事務局. 2010年4月14日閲覧。
  8. ^ 出典 : NHK 地球ドラマチック 「増殖中!タラバガニ 生態系を壊す!海底の王者」2014年10月11日放送分

参考文献

  • 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑』 〈1〉、保育社、1982年8月。ISBN 978-4-5863-0062-4 
  • 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』(学生版(第2版))北隆館、1990年12月。ISBN 978-4-8326-0042-3 
  • タラバガニ類種苗生産技術の確立 - 水産研究所”. 根室市役所(公式ウェブサイト). 根室市. 2010年4月14日閲覧。

関連項目

外部リンク